23.絵師としての器量/N ページ24
｢じゃあ…智も？
智も百鬼夜行とかっていうのをやりたいの？｣
｢ん〜、大ちゃんの場合半ば強制的かな｡
大ちゃんは大天狗様が跡取りにと見込まれる程の器の持ち主だけど、大ちゃん自身はそんなこと全然興味がなくて……｡
次期頭領として縛られるのがとにかく嫌で、出奔…つまり家出をしちゃったの｡｣
｢その頃つるんでたのがおれ｡
ね、智君｡｣
翔さんがニコニコ笑うと、
やっと半分くらいカレー食べ終えて、智も嬉しそうに微笑んだ｡
｢楽しかったよ〜、翔君、面白いし優しいし｡
そこそこ悪さも知ってるし｡
友達としてはサイコーなんだけど…
……ちょっとどんくさくてさ｡
ある日、人間の陰陽師に封印されちゃったんだよね｡
めんどくさそうだったから、とりあえず翔君はほっといて、その後も好きな絵を書きながら気ままな一人旅を楽しんでたの｡｣
｢………智｡
お前友達のクセに、翔さんのこと見捨てたの？｣
｢だって翔君封じた陰陽師って蛇みたいにしつこい奴だったし｡
それに翔君なら自分でなんとかできると思ったし｡｣
｢いや…、
そういう問題じゃないんじゃ……｣
｢俺、気分屋なの｡｣←超ニッコリ
｢………まぁいいや｡
そんで？
その後どうやってオレに辿りついたの？｣
｢……ニノ｡
そこ『まぁいいや』ってのも、おれ的には寂しいんだけど｡｣
｢大ちゃんさぁ、すげぇ絵が上手くて、そうだな…、例えばね？
馬は紙の中で自由に駆け回るし、鳥だって綺麗な声で啼いて、空を自由に飛び廻るんだ｡｣
｢ひでぇな!!
雅紀までおれのこと無視!?｣
｢翔さん、あのね？
話進まないから、ね？
後で俺がちゃんと聞いてあげるから｡｣
｢潤〜!!
やっぱお前、サイッコーに優しいイイ子だよなぁ!!
さすが俺の愛しの潤〜!!｣
｢……翔さん、マジで暑苦しい｡｣
｢……あのさ、お取り込み中わるいけど｡
話し続けてもイイのかな？｣
呆れ気味に呟いた相葉さんに
むぎゅーって抱きつく翔さんの背中を擦りながら、潤君がＯＫサインを出した｡
｢じゃ、続きね？
大ちゃんが描く世界は本物と同じ｡
大ちゃんは紙の上の世界に命を吹き込む事が出来るの｡
紙の中で生物は命を持ち、光が溢れ、風が生まれる｡
大ちゃんは自由に絵を描いて暮したかったんだけど…
大天狗様がねぇ、許してくれなかったんだよねぇ…｣
智は自分の右手を結んだり開いたりすると
少し寂しげな笑みを浮かべた｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
