16.うちの子が一番カワユイのです｡/N ページ17
｢雨の降る日にさー｡
ばんから差して一人で歩いてたら、草ボーボーの空き地できゅうきゅう鳴き声がしたの｡
そんで鳴き声のする方に行ってみたら、ちっちゃな潤がね？
犬耳ピクピクさせて、ふさふさの尻尾までふにふにさせて｡
マッパで指ちゅぱちゅぱしてたんだよねー//｣
……翔さんてばイケメンな顔が完全にデレメンになってる｡
｢そんでおれが手を伸ばすと涙目で『おなかちゅいた』って｡
その後、細い牙がおれの手に食いこんで血がダラダラ流れたけど｡
そんなこと全ッ然気にならないっていうの？
もう、雷に打たれたような衝撃っていうの？｣
｢あーもう!!
翔さん、マジで喋んないで!!!｣
潤君は死ぬほど恥ずかしそうに顔真っ赤にしてぎゅーーって両手で耳塞いでる｡
｢今はお年頃の所為か、多少反抗期入っちゃってるけど｡
あの頃はとんでもなく可愛かったんだよね〜｣
｢……翔ちゃん、あのさ｡
多分そういうことじゃなくて｡
潤君、本気で嫌がってんじゃない？｣
相葉さん、オレもそうだと思う｡
｢まさか〜｡
あれでも時々だけどさ｡
未だに『翔君大好き』って言ってくるんだゼ？｣
………そんなこと、ドヤ顔でみんなの前で大々的に公表しちゃって｡
翔さん、ガチで潤君に嫌われるのも時間の問題だな｡
｢もう!!
翔さんのバカバカバカ!!
もう嫌い!!
翔さんなんてだっきらい!!!｣
こっ恥ずかしさから顔を真っ赤にして、潤君は涙目で翔さんのこと睨んでる｡
｢そ、そんな…
昨日もおれのこと大好きって言った癖に!｣
｢ホントもう、暫く口きいてやんない!!
翔さんとは絶交だかんな!!!｣
白銀の尻尾をふにふにさせて怒った潤君に
｢そうやって怒った顔も可愛いんだから〜｣
翔さんは最強の親馬鹿ぶりを発揮した｡
｢へっ？なに？｣
ぐっとオレの肩を抱いたかと思うと、智は溜息交じりに潤君を見つめる｡
｢翔君ともあろうものが…、溺愛もいいけどさ｡
基本的な躾はちゃんとしてくれないと困るよ｡
ねぇ、潤君…だったっけ？
人のモンはとっちゃだめってちゃんと教えて貰ってないの？｣
今度はオレの腰を抱いて、頬と頬がくっつくぐらい、智はオレを引き寄せる｡
｢ニノに一番最初、唾つけたのは俺｡
ニノは俺のモンだ｡
コイツに手ェ出すな｡｣
｢えっ？えっ？えぇ〜!?｣
パニクッてるオレの腰を抱く智の背で、漆黒の翼がばさりと音を立てた｡
17.君の全ては僕のもの｡ →←15.綺麗な薔薇は棘だらけ｡/N
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
