13.まさかの意気投合？/N ページ14
炎に焼きつくされた煙の破れ目から、ニッと笑う相葉さんの瞳が見える｡
｢ざーんねん、オレはニャンコちゃんじゃなくて、狐さんでした♪
もう一個の質問にはノーコメント｡
オレが答えなくても誰がニノを守ってるかなんて、じきに分かるよ｡
……お兄さん、綺麗な人だね｡
そこのワンコちゃんの関係者みたいだけど、何者？｣
｢狐…？へっ…なに？
相葉さん!?｣
薄暗い店内にいくつもの焔がゆらゆらと揺れている｡
｢…………“狐火”か｡
貴様、相当な使い手と見た!!｣
ひゅっと空気が音を立てて、翔さんの煙管が相葉さんめがけて打ち込まれた｡
青白い狐火がゆらゆら揺れて、翔さんの煙管を弾き飛ばす｡
｢やだなぁ｡
オレ平和主義者なのに｡
暴力で働きかけるのはよくないよ？｣
今度は相葉さんの狐火が翔さんの体を舐めようとする｡
｢チッ!!
お前いちいち調子狂うな!!!
狐、お前なんて名だ!?｣
｢相葉雅紀｡
お兄さんは？｣
｢おれ!?
おれは櫻井翔!!｣
刹那の時も許さず、翔さんの煙が相葉さんの狐火を掻き消した｡
｢アララ、消えちゃった｡
ま、いっか♪
お兄さん、翔ちゃんって言うんだ。
ねぇねぇ、翔ちゃんってすっごい美人さんだよね？
オレ、人間の世界じゃ花屋やってんだけどさ｡
翔ちゃんは普段なにしてる人？｣
｢おれ？
おれは大学で歴史教えてんの｡
専門は平安時代、かな？｣
｢へぇ!凄いや!!
翔ちゃんってあったまいいんだね!!｣
｢//いやぁ〜それほどでも｡
なんだ、お前結構いいやつじゃん｡
翔ちゃんって呼んでもいいからさ｡
おれも雅紀って呼んでいい？｣
あれ？
あれれ？
相葉さんと翔さん、すっかり意気投合してる？
しびれを切らした潤君が、苛立ちをそのままに翔さんに叫んだ｡
｢だーもう!!!!
翔さんともあろう人が何してんだよ!!!!｣
｢あ、そうだった｡｣
｢やっば｡
オレも翔ちゃんと闘ってたの忘れてた｡｣
｢勝手にしろよ!!!
俺はコイツを食うからな!?
そんで絶対てっぺん取って、百鬼夜行を成功させてやる!!!!｣
相バカマジで頼りになんねぇ!!!!
もうダメ!!!
潤君の口から覗く牙の白にぎゅっと目を瞑った瞬間
首筋にチリッとした軽い痛みが走って｡
｢え…？今の…なに？｣
｢狐が…守護者じゃないのか…？｣
目を開けたオレをまるで潤君から守るように
何十羽もの三本脚のカラスがオレを取り巻いていた｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
