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貴「えっ!?」
差し出された硝子の靴に驚く女性が一人。
さ「これは貴方様のために御用意した靴なので、遠慮なく。」
貴「いやいやいや無理ですよ!第一こんなに高いヒール履いたことないし…」
躊躇うAに痺れを切らした紅い彼が、彼女の足を取る。
さ「お綺麗ですよ。」
う「…うん、よく似合っています。」
「あ、ありがとうございます…。」
ぎこちなく答えるAに、
それから刻はゆっくりと流れる。
紅と踊ったり、他愛もない話を延々としたり。
其処で、音が絶えることはなかった。
う「……おや、どうやら時間のようです。」
ふいに懐中時計を取り出した翠が言う。
さ「えぇ、もう夜明けが近いです。」
楽しい時間にも終わりは訪れるもので、Aは寂しそうに、悲しそうに俯く。
う「お送りしますよ、お姫様。」
翠が、またもAの手をとる。
階段を降りる際、ヒールに慣れないAはバランスを崩す。
貴「あっ、」
さ「A様!」
紅い彼が、すんでのところでAを抱き止める。
さ「嗚呼、ヒールが壊れてしまったようですね。」
彼は、Aを抱き止めたままそう言う。
さ「あれは、私がお預かり致します。次いらっしゃった時までに直しておきますので、左足の靴は持って来て下さいね。」
貴「す、すみません。ご迷惑を…。」
う「いいんですよ、コイツ、そういうののスペシャリストなんで。」
蚊帳の外だった翠が口を挟む。
貴「スペシャリスト……。すごいですね!」
さ「いえ、趣味というか、そんな程度ですよ笑」
クスッと笑った彼の笑顔に、Aの鼓動が速まったのは秘密だ。
う「……では、またのお越しをお待ちしております。」
さ「おやすみなさい。素敵な夢を。」
バタンと閉まった扉の音に、彼らの力は一気に抜ける。
さ「楽しんでもらえたかな…。」
う「まあ、次来るまで時間あるし。直せるとこ直そうぜ。」
さ「にしてもAちゃんかわいかったな〜。毎日会えるうらさん幸せすぎやろ!」
う「フッ、羨ましく思うならさかたも入社することだな。」
さ「俺看護師目指しとるのに……。」
二人の会話は、夜明けまで続いた。
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名奈(プロフ) - くっきぃさん» いや全然頭良くないよ(^ω^;) (2021年8月22日 16時) (レス) id: 6f1fe19d18 (このIDを非表示/違反報告)
くっきぃ(プロフ) - 名奈さん» いえいえー!そうなんだ!頭が良いのが作品にでてくるわそりゃ笑 (2021年8月22日 14時) (レス) id: 02e0ed7159 (このIDを非表示/違反報告)
名奈(プロフ) - くっきぃさん» ありがとう〜!遅くなってもコメントしてくれるだけで嬉しいよ!受験期に"present"の意味全然覚えられなくて、覚えようと頑張った思い入れのある単語だったから採用した!笑 (2021年8月19日 20時) (レス) id: 60f88b3dc2 (このIDを非表示/違反報告)
くっきぃ(プロフ) - 完結おめでとうーー!遅くなってごめんね。名奈ちゃんの書く話色んな意味が込められてて読んでて楽しい! (2021年8月19日 19時) (レス) id: 02e0ed7159 (このIDを非表示/違反報告)
名奈(プロフ) - くっきぃさん» いえいえ!ほんと!?それならよかったー!こちらこそよろしくね(*´∀`)ノ (2021年3月27日 19時) (レス) id: 6f1fe19d18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名奈 | 作成日時:2021年3月23日 8時