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5話 ページ6

分かっている。

ありがたいことなのだろう。

だけど………やはり、これに関しては譲れない。

そもそも、合わなそうとわかっているお見合いを行ったとき、どう断ればいいのか……気まずすぎるだろう。

人生の一大イベントなのだ。

これくらいは、自分で決めたい。

父には申し訳ないけれど。

ふと、夕飯の材料が足りないことに気が付き、外へ出かける支度をする。

父「……A?出かけるのか?」

A『夕飯の材料を買いに。お魚でいいですか?』

父「なんでも」

A『それじゃあ、行ってきます』

父「おう。気をつけろよー」





A『………寒っ』

ハァーっと白い息を吐く。

小さい頃は、息が白くなるだけで大はしゃぎしたものだ。

手に息を吹きかけ、温める。

手がかじかんで、持っていた風呂敷を手放してしまった時だった。

無「!大丈夫ですか?」

その声に、思わず顔を上げる。

A『!正さん!』

随分前に、道案内をした男の人。川上正さん。

それから、こうして良く浅草の夜道で会うようになり、時々お茶なんかもしている。

………どうでもいい話か、ただただ黙っているか……そのどちらかだけれど。

沈黙が続いても、不思議と気まずい雰囲気にはならず……むしろ、心地よい。

無「はい、どうぞ」

そう言って、落としかけた風呂敷を手渡してくれた。

A『すみません、ありがとうございます』

無「いえいえ。……お買い物ですか?」

A『はい、夕飯の材料が足りなくて…父に行かせるわけにも行きませんし』

無「……Aさんは、お父さんと暮らしているのですか?」

A『はい、二人暮しです。母は、数年前に病で亡くしまして。私は……今だに未婚者なので』

無「そうなんですか。よろしければ、買い物のお手伝いしましょうか?」

A『いえ、大丈夫ですよ』

無「手伝いましょう。危なっかしいですし」

そう言って、一緒について来てくれる正さん。

ちらりとその横顔を盗み見る。

あまり、意識したことがなかったが………この人、相当な美形らしい。

周りの女性陣が騒いでいた。

それまで、そんなことを意識していたかったため、気が付きもしなかったが……

こうして見ると……やはり、美形だ。

女性が騒ぐわけだ。

そう、1人で納得する。

でも……どこか、切ないような……冷たい……恐ろしさ……?のような物も感じるような気がする。

……まぁ……所詮、勘でしかないが。

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ちびリス - こゆんちゃんさん» 無惨様って…敬語何ですか…? はずかしながら、初めて知りました。すみません!!…このまま、敬語抜きで行くと思います。わざわざ言ってくださったのに、すみません!! (2020年8月14日 15時) (レス) id: 676aa3962f (このIDを非表示/違反報告)
こゆんちゃん - 無惨様が敬語をはずすとお館様感が……、、でも、話はとっても面白いです! (2020年8月12日 12時) (レス) id: dfa1a83f80 (このIDを非表示/違反報告)
ちびリス - コノハさん» こちらこそ、コメントしてくれてありがとうございました! 展開に悩んだりしますが…いい感じに終われるよう、頑張っていきます! (2020年8月11日 12時) (レス) id: 5f26e80ee4 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ - 一緒にいられるなら嬉しいです。返事をかいてくれて有難うございました (2020年8月9日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
ちびリス(プロフ) - コノハさん» 納得できなかったら、どんどん言ってください!!! (2020年8月6日 17時) (レス) id: eb5ae9646b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちびリス | 作成日時:2020年7月22日 0時

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