2話 ページ3
心臓が、ものすごいスピードで動いているのが分かる。
こんなこと、何千年前のあの時以来、初めてだ。
女「?どうかしました?」
慌てて何もなかったかのように取り繕った。
無「いいや、知り合いかと思ったんだけれど、人違いだったみたいだ。さ、早く店へ行こう。寒いだろう?」
そう言って、一瞬、後ろをちらりと振り返る。
人が多く、きちんと確認できていないが……
…………人違いではないはず。
でも………ここに、いるはずがない。
いつぶりだろうか。
こんな感覚。
思い出したくなかったこの感覚に、苛つかながら女に続いて店へと入った。
それから、いつもと変わらぬ日々を送っていた。
昼間は、無限城。
浅草の夜道を歩き
夜は、あの女の家。
あの日の夜の出来事は、何もなかったことにしようと気にしないようにと努めているが……
浅草の夜道を歩くと、どうしても周りを見渡してしまう。
あいつを探して。
最近では、恋人特有の行動……口づけなどもするのを忘れてしまうほど、気になってしまっている。
ついこの間、下弦の累が殺られた。
下弦の入れ替わりの速さと、どうしても気になってしまっている己に腹が立つ。
ほんと、最近はストレスばかり感じている。
こんなこと………無かったというのに。
無性に腹が立つ。
それもあり、少しでも苛立ちの原因を取り除こうと、下弦を排除し、あの女とは別れた。
別れ際に泣かれたが……そらすら腹が立つ。
……………もう、浅草の夜道を歩く必要などないというのに………無意識に、あの日見かけた姿を探すため出向いている己にも腹が立つ。
あまりの苛立ちに、すぐ側の人間を殺そうかと思った時だった。
少し離れた所に、あの日見かけた女がいた。
殺そうと上げた右腕が空中で止まる。
そうやって、少しの間動くことができなかった。
こちらを見向きもせずに、クルリと背を向け遠ざかる背中を見て、慌てて追いかけ手を掴んだ。
無「………………」
なぜ…………こんな行動をとったのか、自分でも意味が分からない。
………捨てた過去だというのに………まだ、私はこいつに囚われているというのだろうか。
その事に自覚し始め、収まっていた苛立ちが沸々と湧き上がっていると……
その女がこちらを向き、口を開いた。
?「あの……どうかしましたか?」
無「…………………………」
あまりにもとっさの行動で、何も考えていたかった。
………何といえばよいのか、分からん。
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ちびリス - こゆんちゃんさん» 無惨様って…敬語何ですか…? はずかしながら、初めて知りました。すみません!!…このまま、敬語抜きで行くと思います。わざわざ言ってくださったのに、すみません!! (2020年8月14日 15時) (レス) id: 676aa3962f (このIDを非表示/違反報告)
こゆんちゃん - 無惨様が敬語をはずすとお館様感が……、、でも、話はとっても面白いです! (2020年8月12日 12時) (レス) id: dfa1a83f80 (このIDを非表示/違反報告)
ちびリス - コノハさん» こちらこそ、コメントしてくれてありがとうございました! 展開に悩んだりしますが…いい感じに終われるよう、頑張っていきます! (2020年8月11日 12時) (レス) id: 5f26e80ee4 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ - 一緒にいられるなら嬉しいです。返事をかいてくれて有難うございました (2020年8月9日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
ちびリス(プロフ) - コノハさん» 納得できなかったら、どんどん言ってください!!! (2020年8月6日 17時) (レス) id: eb5ae9646b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちびリス | 作成日時:2020年7月22日 0時