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頬に手をやると、幾つもの涙が伝っていた。
「ごっ、ごめんなさい。…何で、涙なんか………」
人生で初めて流した涙の止め方など知る由もなく、どれだけ拭っても涙が零れてくる。
男は、返り血を浴びた手で私の涙を拭った。
突然の出来事に訳が分からず顔を上げると、男は今にも泣きそうな顔をしていた。
瞳には、先程までの狂気はなく、優しさを含んだ悲しげな色を滲ませていた。
「…あ、ごめん。こんな汚ぇ手で触られたら嫌よな。」
罪の人間特有の口調が、彼は
それなのに、彼を許したいと思ってしまうのは、どうしてなのだろうか。
「……あなたのしたことは、刑法第1条に値します。故に、私はあなたを逮捕しなければならないのですが……、今回は、見逃します。」
「…え？」
「…私は、今まで正義が絶対だと思って生きてきました。罪は許されない。排除すべきだと思っていました。だから警察官になったんです。……でも、私は一番大事なことを忘れていました。それを気づかせてくれたのは、あなたです。法に従わないことは罪になりますが、今の私は、大切なことに気づかせてくれたあなたを、逮捕する気にはなれないのです…。」
その瞬間、私は彼に包まれた。
彼から伝わる温もりは、
「…ありがとう。……俺、二度と罪を
そう言った彼は、目に涙を浮かべていた。
神は、この世に存在する。
なぜなら、この世界で生きる全ての人間が、生まれる前に神に会っているから。
もし、神に願うことで、願いが叶うなら────。
ねぇ神様、この世界に
JUSTICE [from] GUILTY 『相反』
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作者名：名奈 | 作成日時：2021年1月18日 17時
