偽りにみちた魅力 * ページ19
突如、一人の少女が姿を現した。
可愛らしい満面の笑みを浮かべる少女は、とても魅力的で、どこか可憐さを感じる。
「お兄さん！私を綺麗な女性にして！」
思いもしなかったことを言われた俺に"断る"という選択肢が見つからず、少女を家に連れ帰った。
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……夢か。
こんなの正夢になってもらっちゃあ困るなと思いながら、ベッドに違和感を覚える。確かにシングルベッドだが、こんなに狭かっただろうか、と考えていたら、何やら布団の下からモゾモゾと言うのが最適な音がした。
布団を捲って見ると、先程まで夢の中に居た少女がすやすやと眠っているではないか。おい嘘だろ…。
時刻は深夜2時。
この現実から目を背けるように、再び睡魔に身を潜めた。
「おい、朝だぞ。起きろ。」
只今の時刻、朝6時半。
隣の少女は、深夜に目を覚ました時と同じようにまだ眠っている。
軽く揺すってやると、んぅ…と言い、重い瞼を持ち上げようと必死に目を擦っている。
「ぉ兄さん、ぉはよ…」
「おう。今日から学校行くんだろ？早く準備しろ。」
「がっこう…？………！がっこう！！行く！！」
朝からテンション高いなと思いつつも、元気な様子に一安心する。
「ほら、パン焼けたぞ。食え。」
「ありがとう！」
いただきます！と元気な声とともに手を合わせた少女は、一応マナーが備わっていることが分かる。
「…そういえば、名前聞いてなかったな。名前は？」
「んーとね…、A！」
「…その間は何？」
「え？いやー、名前なんてもうずっと使ってなかったからさ！忘れてて！」
アハハと笑うAに、名前を忘れることなんてあるのか？もうずっと使ってないってどれくらいの期間だ？など聞きたいことがいくつも頭に浮かんだが、あ！もう時間！というAの言葉に弾けた。
Aは中学生だろうか。学校の制服と思われるブレザーに身を包んでいる。
どこから持ってきたかはあえて聞かないでおく。なんか、聞いてはいけない気がする。
「忘れ物ないか？」
「うん！いってきます！」
「おう、頑張って来いよ。」
朗らかな笑顔に、俺も頑張ろうと思えた。
My name is DATURA 『偽りにみちた魅力』
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作者名：名奈 | 作成日時：2021年1月18日 17時
