妄想最盛期 (ページ16)

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不安ページ16

「ねぇ、もし俺がAの前からいなくなったらどうする？」

突然の問いに、Aは意味が分からないと言った顔で俺を見ている。

それもその筈だ。
Aと付き合ってもう4年も経つというのに、彼女が俺を心配させるようなことをしたことなんて一回もないのに、今も俺の隣にいてくれているのに、いつかAが俺の前からいなくなってしまいそうで怖い。

「うーん……、探す、かな」

そう答える彼女は、難しい顔をしている。

「だって、私には〇〇がいないとダメなんだよ？4年も付き合ってるのに今更他の人とか考えられないし、そんなの考える暇あったら〇〇の傍にいたいしね。」

「…それ、本当？」

「当たり前じゃん。」

予想を遥かに超える嬉しい返事を聞いて、思わずAを抱きしめた。

「ちょ、苦しいよ〜」

「ん〜…、今はAをぎゅーってしたいのー。もうほんとA好き。愛してる。」

Aの顔を盗み見ると、ボッと音を立てたように耳まで真っ赤になっている。
そっと優しく抱きしめ返してくれるAに、より一層愛しさが募る。

「私も、愛してる…」

聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った言葉は、しっかり俺の耳に届いた。
俺は、Aを抱きしめる腕に力を入れた。

月の夜に『不安』