百五十五つ葉 ページ21
一方治療を施されているエウェルは、ラーマの視界を清潔なタオルで覆って見えなくされている傍らで触診を受けていた。
「どうですか、バーサーカー」
手が自由になったために口に含まされていた布を取り出して問う。
取った際に鋭い視線をいただいたが素知らぬ振りをして、ひとまず怪我の具合を尋ねる。
「順調に回復はしてきています。この様子ならばもう数日で完治することでしょう」
「……回復してきているのでしたら、バーサーカーはラーマ王の治療に専念してください。あとは自己治癒能力で」
「いいえ。私は完治するまであなたの側を片時も離れるつもりはありません。これは決定事項です」
軟膏を患部へと塗るバーサーカーの返しに苦笑いしか浮かばない。
異常なまでの治療への執着心は彼女が天使たるゆえか、それとも医療従事者の責任か。
どちらにしても、エウェルにとって気持ちは有り難いが困るものだ。
「ですが、ラーマ王を抱えたうえで私も背負うとなるとかなり大変ではないでしょうか？ 実際、先程の戦闘で何度もバーサーカーは私を庇って彼等の攻撃を受けていたでしょう？」
「御安心を。治療には支障はありませんので」
てきぱきと包帯を巻き、服を着るように指示をするバーサーカーにどうにか説得ができないかと思案する。
先程の戦闘の時でも感じたが、ナイチンゲールは患者を共に戦場へ連れていくというのに傷は作らせようとはしない。
むしろ、ラーマやエウェルへの攻撃を受け流したり、できない場合は最小限の傷で済むようにナイチンゲール自身で受けたりと、戦闘以外で気を張る必要性が出てきている。
ただの移動だけならば患者二人を抱えたり背負ったりすることに支障はきたさなかったが、戦闘面となると勝手は違ってくるのは当たり前。
ましてやゲリラ戦もなれば全方向に意識を分散させねばならない。
短時間であれば可能かもしれないが、聖杯の力によっていくらでも湧いて出てくるケルト兵士達相手に患者二人を気遣いながら四方に意識を分散さての長期戦闘など、できるはずもない。
なのでエウェルは提案したのだが、案の定断られた。
「だとしても、何度も続けばバーサーカーに致命傷ができてしまうかもしれません。医学の心得がある貴女が倒れてしまってはもとの子もないでしょう？」
「問題ありません。そうならないようにするまでです」
折れないナイチンゲールにアプローチの仕方を変えても決して彼女は首を縦に振らない。
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翔べないペンギン(プロフ) - 灰かぶりさん» コメント及び応援ありがとうございます。この辺りの話を確りと考えていなかったためにかなりスローペースでの更新になりますが、気長にお待ちいただけると非常に嬉しいです。灰かぶり様も最近寒暖差が大きいですのでお身体をご自愛ください。 (2023年2月8日 18時) (
レス) id: 59a8ce4908 (このIDを非表示/違反報告)
灰かぶり(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました。言葉遣いが丁寧で、読んでいてとてもわくわくしました！Fate関連の作品は少ないですが、これからも楽しみにしております。お身体にお気をつけて。応援しております！ (2023年2月8日 10時) (レス) @page17 id: 54c03ac678 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 夢プリンさん» 前回に続き今回もコメントをありがとうございます。御存知でしたか。仰るとおり、クー・フーリンの結婚のお話っぽくしております。自己解釈・捏造・御都合なんでもこいな展開になりつつあるうえ更新もまばらになると思いますが、完結までお付き合いいただけると幸いです (2022年11月14日 18時) (レス) id: 05fbcee79b (このIDを非表示/違反報告)
夢プリン(プロフ) - うわあぁぁ！！クー・フーリンの結婚ですね！めっちゃ好きです！！ (2022年11月14日 12時) (レス) @page15 id: 0c2c417461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2022年8月28日 0時
