シャムロックの花。第二輪 (ページ45)

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九十つ葉ページ45

「……確かに、あなたの言葉も一理ありますわ。ここは先輩サーヴァントとして、マスターの邪魔にならないようにサポートするのが良き妻。御忠告、痛み入りますわ」

くすりとたおやかに笑った清姫は立香が歩いて行った方へとしゃなりしゃなりと静かに歩いていく。

困り顔から一変して目を瞬き、きょとんとした表情で清姫の後ろ姿を見送ったAは少し考え、彼女に付いていくことにした。

フードを再び目深く被り直し、まるで清姫が言うところの良き妻のように数歩後ろを従者のように付いていった。

「あれ？珍しい組み合わせだね」

途中に出会ったアタランテとアレキサンダー。

アレキサンダーが二人を不思議そうに見てそう溢す。

どうやら隣立つアタランテに神話の話を聞きせがんでいた、ところだったらしい。

「確かに、珍しいかもしれませんね」

フードの下でAは苦笑いを溢す。

あの戦闘以来、何かと目の敵まではいかないまでにも人の恋路を邪魔する泥棒猫という認識が清姫にはあるゆえ。

「噂は聞いている。彼の言う通り珍しい組み合わせだ」
「ふふ、わたくしは別に彼女と喧嘩しているわけではありませんわ。ただ、この泥棒猫がわたくしからマスターを奪うから対立しているのであって、この泥棒猫がわたくしからマスターを奪わなければ何もありませんわ」
「うーん、それは多分無理な気がするよ」

くすくすと閉じたまま扇を口元に当てて笑う清姫に、なんとも言えない表情をするアレキサンダーとアタランテ。

既に清姫とAの不仲は噂としてこっそりと広がっている。

十中八九、ロンドンで出会った作家系サーヴァントがその話を聞いた場合二人に対して取材を申し込むに違いない。

だが生憎彼等は立香の声にまだ応えてはいないため、いずれくるかもしれない未来はまだ訪れてはいなかった。

「そういうお二人は？何やら熱心にお話されていたような気がしますが」
「うん。アタランテに色んな話を聞いたんだ。先生のお話も聞きたいけど、色々と忙しそうだから」
「マスターがたまに思い立ったように素材やらQPなるものを集めに行くからな。私も以前同行させてもらったが、即発見即撃破と謎の言葉を言っていた」

ついでに言えば鬼のようにその周回に付き合わせてられた諸葛孔明ことロード・エルメロイⅡ世は現在部屋にて休憩中。

傍らに栄養ドリンクのカラが何本もの放置されているらしいが、それはここにいるサーヴァント達は知らぬこと。