五十二つ葉 ページ5
マリーとジャンヌオルタの元を去ったAは彼女を探していた。
あちらもネロを探しているため一箇所に留まっていることはないとは踏んでいる。
あとは運だろう。
途中ジャンヌの名前を何度も叫んでいるジルを見掛けたが害がないので見なかったことにし、更に探すこと十数分。
クー・フーリンと話している目的の人物がいたのでほっと息を吐いた。
「お話し中申し訳ありません。少しよろしいでしょうか勝利の女王様」
だが、少しだけAの声が通常より低くなっていることに気付いたのはその場にいた槍兵のみだろう。
「? どうかしたの。確か……彼と同じクー・フーリンだっけ?」
「はい。マスターからはAとも呼ばれております」
「じゃあAだね。私のこともブーディカでいいよ」
「ではそのように」
にこりと笑うが直ぐに口を真一文字にした。
近くに追跡者の気配を感じたからだ。
「ブーディカ様、お助けいただきたいのです」
「何かあったの?」
詳細までは言わないがネロに追われていることを伝えると彼女は丁度いいと言う。
「さっきまでエリザベートを説教していたんだ。
十中八九、ネロはブーディカに追われていることを忘れているだろう。
それ程までにAの素顔が見たいのか。
「それでいろんな人に聞き込みしていて、今彼に尋ねていたんだ」
「そういうこった」
なるほど、とAは頷く。
となれば珍しい組み合わせなのも納得がいく。
気付かれないように安堵の息を吐いたAはこのまま此処で待つべきかどうかと尋ねるとそうすることとなった。
何故か用が済んだはずのクー・フーリンも交えて。
「でも不思議だね。同じ英霊なのに性別が違うだなんて」
クー・フーリンとAの二人を交互に見てブーディカはそう言う。
「だろうな。オレもそこは気になっているところだ」
「……」
頭半分ほど低い性別が違う同じ名の英霊を見下ろすが彼女は依然と口を噤んだまま何も語らない。
二人の間に流れるやや険悪な空気に話題を失敗したかなと頬をかくブーディカだが、何かに気付いたらしい。
廊下の先を見ていた。
「……いらっしゃったようですね」
「みたいだね」
「物はついでだ。手伝ってやるよ」
程なくして現れたネロだが、Aの側にいるブーディカを見つけると目の色をやや変えた。
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2020年2月28日 21時