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八十一つ葉 ページ36

自分の自室に戻った立香とマシュ、そしてA。

立香はベッドに座り、その隣にマシュも着席、マシュの膝の上には行儀よく座った白い獣もいた。

「A、そこの椅子を使ってくれ」
「いえ、お気遣い……そうですね、有り難く使わせていただきますね、マスター」

一人立っていたAだったが立香の提案に頷き、彼が普段使用している椅子使用することにした。

立香とマシュ、ついでにフォウが座るベットから約一メートル程距離を開けて椅子に座ったAは、今回呼ばれた件について問う。

「マスター、私に何か質問があるのでしょうか?」
「その、A……。正直に話してほしいんだ。Aは本当に“英霊”なの?」

緩やかに弧を描いていた口元が、立香の問いを聞いた瞬間に真一文字になる。

「第四特異点での魔術王との会話であいつが“ 英霊には到底なれない者”って言った時、何故かAを思い浮かべてしまったんだ」
「……」
「もちろん俺にとってAはマシュの次に、召喚テーブルで初めて応えてくれた英霊だ。特異点Fからずっと俺とマシュを助けてくれた」

あの炎の街の時からずっとAは立香の力になっていた。

共に歩み共に成長していくマシュとは違い、Aは影からそっと立香を支えてくれていた。

今は英霊達も増えたために関わる時間は少なくなってしまったが、フードで隠れているが見守るような暖かい視線をいつも立香は感じ取っている。

ゆえに、Aが魔術王が言った“ 英霊には到底なれない者”ではないと、彼は証明したいのだ。

「Aさんは、あの時、……宝具が使えないあの時にわたしを助けてくださいました。その後も、沢山わたしや先輩を助けてくださいました。例えAさんが英霊じゃないとしても、わたしや先輩にとってAさんは英霊です」

真摯な目でマシュはAを見る。

英霊であろうとなかろうと、マシュにとってそれは些細なことでしかないのだろう。

自分に宝具展開の仕方の手解きをしてくれた、尊敬する人物なのだから。

「だからA、正直に答えてくれ」

君は英霊なのか?

「……マスター、一つ尋ねたいことがあります」

ずっと沈黙を続けていたAが口を開く。

「それはマスターにとって必要な答え、なのでしょうか?」
「あぁ、必要な答えだ」
「……そう、ですか」

ふぅ、と長い長い息をAは吐いた。

「でしたらお答えいたしましょう。私は──」

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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/  
作成日時:2020年2月28日 21時

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