七十つ葉 ページ24
人類最後のマスターである立香の安全を最優先にするのはカルデアとして当然のこと。
素材を集めることも重要は重要である。
だが立香がいてこそゆえ素材は集めなければいけないのであって、彼がいなくなってしまっては素材集めも意味がない。
「……うん、わかった。戻るよドクター」
『ありがとう立香くん。レイシフトの準備を開始するよ。少し待って』
にこりと笑った立香は振り返るとサーヴァント達に戻ることを伝えると、何名かが不満そうな顔をしていた。
曰く、折角のリゾートのような青い海に白い浜辺に探検出来そうな森林があるというのに何もしないのは嫌だという。
先程白い浜辺を死ぬ気で爆走したことを頭を掠めた立香は否と首を横に。
「何故だいマスター? もしかしたら彼女達を水着に出来るかもしれないのに」
「……水着」
可愛い水着を着て笑顔でこちらを呼ぶマシュと女性サーヴァントを思い浮かべた立香は一瞬煩悩に傾きかけたが
水着は見たいが今でなくても見ることはできるだろう。
立香を味方に付ければと考えたダビデであったが目論見は失敗である。
残念と一言残し、立香の側を離れたダビデは周囲を警戒するAの方へと笑みを携えて近寄っていっては杖で軽くいなされている姿を尻目に、立香は準備が出来たと言ったロマニにカルデアへと戻った。
目蓋の裏に感じた強い光ののち、目蓋を開けると鉄製の何かが見えた。
ハッチが開かれ、その先には安心した表情のロマニがいた。
「おかえり立香くん」
「……うん、ただいまドクター」
「気分が悪いとかはないかい?」
「大丈夫だよ」
ロマニから差し出された手に、立香は握り返せば強い力で引き起こされ、管制室の床に足を付けた。
周囲を見れば口々におかえりと、不安にさせてすまないと立香に言ってくれる職員達にただいまと気にしないでとそれぞれ一人一人に返していく立香。
「先輩」
「マシュ」
どうやら先にコフィンから出たらしいマシュがフォウを肩に乗せ立香の側に寄った。
「おかえりなさい先輩」
「マシュもおかえり」
「フォウ」
「フォウも、ただいま」
耳の後ろを掻くように撫でてあげれば心地良いのか目を細めているので笑った。
「立香君、戻って早々に悪いのだけどメディカルチェックをしたい。医務室に移動お願いしてもいいかな?」
「ならついでに集めてきた素材を預かろうか。検査が終わり次第私の工房へきてくれたまえ」
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2020年2月28日 21時