四十八つ葉 ページ1
「む、よくわからぬが余が除け者にされているような気がする。そう思わぬかマシュ」
「いえ。わたしは特にそうは思いません」
和やかな医務室の一角ではそのような会話もされたのである。
ひとまず立香もほぼ回復したためあまり長居をするのはよくないということで医務室を後にした一行。
アルトリアとジャンヌは後片付けを買って出たので二人に頼んだ。
「ずっと思っていたのだけど」
ひとまず一度解散となった。
立香とマシュは、約束していたマシュによるマッサージをマイルームで施術をしてもらうため別れた。
残ったのは諸葛孔明とアレキサンダーとA、そして追われていることを忘れているかもしれないネロの四名である。
ひとまずカルデアの案内を買って出たAの後に続いていたアレキサンダーが、彼女に問いかける。
「どうしてAはずっとフードを被っているの?」
Aと比べて十五センチメートル以上も低いアレキサンダーが彼女を見上げる。
身長差があるためAの表情は他の人達に比べるとまだ見えるがそれでも鼻が見える程度。
目はフードの下に深々と仕舞われていた。
「それは」
「む、その件は余も先程から思っていたことだ。見るからに美人であると見て取れるのに何故にそのように顔を隠しておるのだ」
言い淀むAに対し、二十センチ近くも差があるネロがアレキサンダー同様彼女を見上げるがやはり目だけは見えない。
「少し事情がございまして。素顔はお見せしてたくないのです」
困ったような声色で、二人の問いに対しての明確な答えとも言えない答えを提示した。
それならばと納得するのは幼き大王。
でも薔薇の皇帝はそれで納得することもなく。
「宝玉は隠しても意味はないではないか。ならば見せるべきであろう」
じりじりと詰め寄ってくるネロに対し、Aも徐々に後ずさっていく。
「お、落ち着いて下さい皇帝陛下。私よりも他の女性サーヴァントの方が素敵な方々がいらっしゃいますよ?」
「ふむ、確かにそうだが今はAの素顔を余は見たいのだ」
なんという口説き文句。
しかしながら照れるということもなく。
言葉での説得は無理だと判断したAは、一度宙に文字を書くように指を走らせた。
それは一本の縦線に真ん中から三角が突き出たようなマーク。
スリサズのルーン文字である。
ふっと空気に溶けるように消えたその文字の残留がネロに纏わり付き。
「!」
ぴたりと一時停止したかのように動かなくなった。
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2020年2月28日 21時