アオハル。 (ページ5)

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「Aちゃんのお弁当、いっつも美味しそうやなぁ」って言われるのが嬉しくて、毎週張り切って作った。

毎回なにかデザートも買ってくる大橋くんに、お菓子を作ってお裾分けしたらめちゃめちゃ喜んでくれて、たまに作るようになったり。

「昨日な、正門がなぁ、」って大橋くんの友達のことや近況を聞けることが幸せだったり。

そんな日々が続いて、3ヶ月が経った。
もう月曜日のお昼が日常になってきた頃。

「今日はなんと…フィナンシェ作ってみました！」

和「えっ、うまそ～～！！フィナンシェめっちゃ好きなんよ！！」

「うん、この前そう言ってたから作ってみた」

和「すご～！え、貰ってええの？」

「どうぞ」

和「あっ、じゃあおれのプリンと交換こする？」

「え、ええの？」

和「うん！いつも貰ってばっかやし！」

どうぞ、といつも食べているプリンを笑顔で差し出される。

プリンを受け取って、その手にフィナンシェが入った袋を乗せた。

あぁ、幸せ……ずっと昼休みが終わらなきゃいいのに。

そう思った時、

『あれっ？和也先輩？』

和「ん？…おぉ！！」

『え～！ここでお昼食べてるんですか？』

和「おん、月曜日だけ！委員会の当番で水やりするから、その後ここで」

『へぇ～！ていうか和也先輩、美化委員なんですね笑』

和「おい、なんで笑ってんねん！笑」

随分仲良さげに話すその子を、大橋くんは『部活の後輩で、マネージャー』だと紹介してくれた。

小柄な彼女の柔らかそうなポニーテールが、後ろで揺れている。

話しながらコロコロと変わる表情や、身振り手振りが可愛くて。

…あと、この子は大橋くんのことが好きなんだな、と思った。

『今度私も混ぜてくださいよ～』

和「えー？だめ笑」

『なんでですか！水やり手伝いますよ？』

和「ええって、ほんまに笑」

『ええ～…、…ちなみに聞きたいんですけど、彼女さん…ですか？』

今まで大橋くんとだけ話していた彼女が、ずっと気になってたのであろうことを、私に向かって聞いてくる。

違うよ、と大橋くんがすぐに否定してくれればいいのに、なにか言いたげな顔で黙ってしまうから。

「…ちがうよ？」

そう、答えるしかなくて。

胸がぎゅっと締め付けられた。

大橋くんとどうこうなろうなんて絶対無理だって、分かってたはずなのに、

私、大橋くんの彼女になりたいんだ。