アオハル。 (ページ38)

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道「おはよ」

毎朝、自分の席に荷物を置くと、隣に座る道枝くんがしっかり目を見て挨拶してくれる。

まだ慣れない習慣にドキマギしながらも、そんな些細なことが嬉しい。

「おはよう」

道「あっ、こないだ借りたやつ持ってきた」

「もう聴いたの？早いね」

道「楽しみにしてたから。携帯にも…ほら」

携帯にも入れさせてもらった、の意味で、道枝くんが自分のプレイリストを開いて見せてくれた。

嬉しそうなその様子を見られるだけで、貸した甲斐があったなと思う。

「そっか〜…あっ、でも次貸したいやつ持ってこなかったや」

道「いつでもいいよ、貸してもらえるだけで」

「でも、荷物が増えちゃうし、出来るだけ同じ日に貸し借り出来た方がいいよねぇ」

心からそう思い、何の気なしに出た私の言葉に、じゃあ…と道枝くんが遠慮がちに話を切り出す。

道「…連絡先、聞いてもいい？そしたら、持ってく前日に連絡できるし…」

連絡先……、？

一瞬理解が追いつかなくて、変な間が空いてしまう。

道枝くんが、何かまずいこと聞いたかな…？と不安げに眉を下げたのを見て、慌てて返事をした。

「あっ、ぜひ！交換しましょう！！」

道「…うん笑」

「あーと…じゃあ、はい、私のQRコード…」

道「ありがとう」

「なんかスタンプとか…送ってもらえれば…」

道「うん、…えーと…」

ポンッと軽快な受信音とともに、道枝くんからの初メッセージ。

かわいいトイプーのキャラに「よろしく」と書かれたスタンプ。

トイプーもかわいいけど、これをチョイスした道枝くんがかわいくてどうにかなりそう。

道「…届いた？」

「あっ、うん！届いた！追加するね！」

道「ありがと。じゃあ今度からは連絡してから持ってくね」

そうして約束した前日連絡は、週に2回くらいのペースで続き。

だいたい水曜と日曜の夜に連絡が来て、いっしょに送られてくる道枝くんのプチ感想が密かな楽しみになった。

謙「最近、なんかみっちーと仲良さげちゃう？」

「っは！？何…」

放課後の部室で、長尾くんが頬杖つきながら鋭い質問をしてくる。

謙「おー、動揺しとる」

「うるさ…てか、道枝くんと仲良かったっけ？」

謙「んー、学校がずっと一緒やったし、ご近所さん…？幼なじみ…的な？」

「うそ、マジで？やっぱイケメンって繋がってんの？類は友を呼ぶ？」

謙「早口で何言うてんの笑」