アオハル。 (ページ32)

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ある日の休日。

テスト直前だったから、ずっと部屋にこもって勉強していると、母が大好きなチーズケーキを買ってきてくれていた。

「うわ～～！ありがとう！糖分ほしかったとこ！」

母「昔からそれ好きでしょう」

「うん！さすがよく分かってる～！」

ニコニコ顔でケーキを食べ始めた私。

食べながら、あれ？そういえば……と、謙杜を探す。

「おかーさん、謙杜は？」

母「あぁ、ちょっと出かけてくるーって外行ったわよ」

コンビニでも行ったのかな、と勝手に解釈して、ケーキを食べ進める。

だいすきなケーキは一瞬で食べ終えた。休憩を挟んだら、勉強もなんだかサクサク進んで、過去問を解き終わる。

ぐぐっと伸びをする。
集中が途切れて、お腹もいっぱいで、少し眠くなってしまった。

ペンを持ったまま、うとうとし始めて、これはマズイ…と思った時にはもう、時すでに遅し。

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謙「…ちゃん、ねーちゃん…」

すごく遠くから、謙杜の声が聞こえる。

温かくて優しい手が、私の頭を撫でる。

あぁ…私、寝ちゃったのか。
そう思うけど、まだ半分夢の中で、瞼は開かない。

謙「…爆睡やん、」

ふ、と小さく笑う声がする。

頭に置かれていた手が前髪の方に動いて、指先で前髪が分けられる。

ちょ、おでこ出てない？大丈夫？

謙「……かわいい」

……ん？

…んん！？？？

静かな部屋に、謙杜の独り言が響く。

聞き捨てならん言葉に驚きつつ、眠っていると思われている私は、必死に冷静になろうとする。

謙「…寝てる、よな？」

確認するように私に問いかけた謙杜。

もう完全に起きてるけど、寝たフリを続ける。

今起きるのは、気まずすぎるから…！とぐるぐる考えていた私に、

小さな息遣いが近づいて、柔らかいものがおでこに押し当てられた。

謙「…、…おやすみ、A」

ふわり、と私の肩にカーディガンをかけて、部屋を出ていく音が聞こえる。

その音がしなくなってから、ぱちっと目を開けると、肩には謙杜のカーディガンがかけられていて。

おつかれさま、って書かれたパックのカフェオレが、机の上に置いてあった。

「……え、なに今の…？」

熱くなった頬と、まだ感触を覚えているおでこを押さえる。

今まで知らないふりをしてきた謙杜の気持ちに、触れてしまったような気がした。

同時に、気づかないようにしていた、自分の気持ちにも。