アオハル。 (ページ29)

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いつにも増して真剣なその顔が、私と目が合うとすぐにイタズラっ子のような笑顔に変わる。

西「Aも、俺のこと好きやろ？」

「どっから来てるの、その自信…」

西「ずっとAだけ見てきたんやから、分かるよ」

そんなに分かりやすかったつもりもないし、

最近はほとんど意識していなかったのに。

好き、と言われれば、こんなにも簡単に気持ちが戻ってしまうものなんだ。

中学の時に蓋をした気持ちが、じわじわと溢れてきて、やっぱり彼のことが好きだな、と思う。

でも確かにあの時、私のことは「ない」って…

と、ひとり黙って考え込んでいると、隣に座る大吾が飲み干したペットボトルをテーブルに置きながら、

西「なぁ、そろそろ俺ら付き合わへん？」

と、さも当たり前かのように言い放った。

驚きすぎて声も出ん。

「…は…？なんて…えっ、聞き間違い？」

西「両想いなんやろ？じゃあ、幼なじみじゃなくて、恋人になりたい」

「…えっ、さっきから展開が急…すぎん？」

西「急もなにも、18年ずっと好きやったし」

「ウソだ！！私のことは、ないって…」

西「はぁ？いつの話してんねん、そんなん言うわけないわ」

絶対言ってたのに！と抗議しても、覚えてへんし言ってへん！と返される。

「うそ…だって、それで私…もう無理なんやなって諦めて…」

西「覚えとらんけど…誤解されるようなこと言ったなら、ごめん」

「や…私の聞き間違えかもしれんし、…でも、ほんとに…？」

西「…ずっと、好きやった。これからも隣におってほしい」

展開が急で受け止めきれない私は、真っ赤な顔を腕で隠す。

その腕をそっと取られて、「絶対アンタの聞き間違えやで」と。

「だって、俺はずっとA一筋やったもん」と、可愛く微笑まれてしまう。

西「返事は？」

「えーもう…分かっとるくせに、」

西「嫌や、ちゃんと聞きたい」

言って？と顔を覗き込まれてしまって、もう逃げ場はない。

「…すき」

西「…え？なに？聞こえへん笑」

「っ…好きだってば！！絶対聞こえとるやろ！」

ヤケクソになった私が想いを伝えれば、大吾は楽しそうに笑う。

「よろしく、幼なじみ改め、俺の彼女」と甘すぎて胸焼けしそうな声で言われ、ドキマギしている間にキスを落とされた。