アオハル。 (ページ20)

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綺麗だった夕日が沈んで、外が真っ暗になる。

そろそろ図書館を閉める時間で、館内の学生に声がけをしたら、あとは司書さんにおまかせして私も帰宅する。

さようなら、と声をかけて廊下に出ると、ドアのそばに人が立っていてビックリしてしまった。

流「お疲れさまです」

「流星くん…どうしたの、忘れ物？」

流「いや、忘れ物って訳じゃないんですけど、…」

私の顔を見て、ぱっと立ち上がって笑顔になった流星くん。

待っててくれたのかな、なんて勘違いしそうな反応に、ドキッとしてしまう。

流「あの、もしよかったら…一緒に帰りません、か？」

「え、…」

最後、「ません、か？」の語尾に合わせて小首を傾げる仕草が可愛すぎて、ギュンっと胸に刺さる。

ていうか、もしかしてその為に？本当に私を待ってたの…？

流「だめ…ですか？」

「え！？あ、いやっ…ダメじゃないです……」

流「よかった！じゃあ行きましょう」

「あっ、はい！」

流「先輩は、電車ですか？自転車ですか？」

「電車で通ってる。流星くんは？」

流「僕も電車です！」

話を聞けば、かなり遠くから通っているようで、私とは反対方向の電車だと分かる。

それを伝えると、少し残念そうに「じゃあ駅までですね」と言うもんだから、また勘違いしそうになる。

流「先輩って、どうして図書委員になったんですか？本が好きだから？」

「うーん、そうね。本ももちろん好きだけど…図書館の、静かな落ち着ける雰囲気が好きだからかなぁ」

流「…なんかちょっと分かります。…僕は、最近初めて来たんですけどね笑」

「嬉しい。図書館の魅力に気づいてくれて」

流「先輩のおかげです」

そう言って、キラキラ眩しいくらいの笑顔を見せる。

それにつられて私も微笑むと、大きな目をくりくりさせていて。喜んだように見えた。

流「……早いなぁ」

「え？」

流「もう駅、着いちゃいました」

「あ、ホントだ…」

ピタリ、と駅の前で足を止めた彼に合わせて、私も立ち止まった。

なんだかまだ話し足りなくて、まだ帰りたくなくて…でも何も思い浮かばない。

それは流星くんも同じ気持ちのような気がして。

もう少し話していたい、と思うのに、寒さに耐えられなかった私の身体が震えた。

流「…寒いし、早く帰りましょうか？ねっ」

「あ…うん、そうだね」