アオハル。 (ページ15)

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「西畑せんぱーーい！」

西「おー、A」

廊下でまた後ろ姿を見つけて、走って呼びかける。

生徒会会長の西畑先輩は、書記の私にとって憧れの人だ。

なんでもそつ無くこなし、後輩たち全員に気を配れる。他薦で会長に選ばれたのも納得だ。

「今日の集まり、時間30分遅なるって言うといてー。…と、大倉先生からの伝言です！」

西「了解。毎回やけど、モノマネまでせんでいいねんで？笑」

そう言いつつ、先輩が笑ってくれるのでやめられません…。

なんて、恋する乙女にありがちな心情の自分が少しきもい。

恭「A」

「あ、恭平」

恭「次、移動教室。遅れんで」

「あ～そや！じゃ、また放課後に！」

恭「……」

西「おお、そんな睨まんでも笑。生徒会の連絡の話しかしてへんて」

「は！？恭平なに睨んでんの！やめなさい！」

恭「…睨んでへんし」

ぺしっと恭平の背中を叩く。

西畑先輩は楽しそうに笑って、じゃあまたなって歩いていく。

相変わらず、後ろ姿も素敵だ。

その後ろ姿に見とれている私に、恭平が言う。

恭「…なぁ、どこがいいん？」

「失礼やな」

恭「いや、西畑先輩がかっこええのは分かっとるけど。お前は、あの人のどこが好きなん？」

「どこが…そんなん全部やけど、1番は優しい所…かなぁ」

恭「……オレは優しくないってこと？」

「え？いや、恭平も優しいけど、」

恭「おんなじやのに、西畑先輩への『好き』は、オレとは違うん？」

心の底からそう疑問に思ってる様子で、まっすぐな目で見つめられて、言葉につまる。

そんなの……

「……よく分からんけど、恭平への『好き』は、先輩への『好き』とは違う」

そう言うと、ふぅん…と黙って歩き出す。

慌てて隣に並んで、授業のある教室へ向かうけれど、私たちに会話はない。

毎日会ってはお喋りして、喧嘩して、ふざけ合ってたから

なんかちょっと、変な感じ……。

道「なぁ……喧嘩でもしたん？恭平と」

「ううん、してへん」

道「あ、そう…」

お弁当の時間、みっちーが椅子の向きをひっくり返して私と向かい合う。

みっちーは1つ年下の後輩だけど、家が近所で昔からよく一緒に遊ぶ仲だ。

最近は、3人で昼ごはんを食べるのが日課だった。

しかし今、恭平は1人窓際の席で、お弁当を食べている。

絶対喧嘩したやろ…と、口に出さなくても顔に全部出るみっちーが、私と恭平を交互に見た。