アオハル。 (ページ14)

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２年Ｂ組高橋恭平ページ14

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『けっこん？』

「そお、けっこん！！大きくなったら、すきなひととするんだって！」

『そうなん？じゃあぼく、Aちゃんとけっこんする！』

5歳の頃、両親の結婚記念日に、母から教わった「結婚」の言葉。

すぐに幼なじみに得意気に話して、2人で結婚の約束をした。

イマイチ意味がよく分かっていなかった私たちは、親にも先生にも、会う人みんなに自慢して回ったっけ。

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恭「…って、A？話聞いとる？」

隣を歩いていた幼なじみが、急にグイッと私の顔を覗き込んだ。

「ごめん、聞いてなかった」

恭「やっぱり。なんかぼーっとしとんなぁ、って思っててん」

「ごめんごめん。なに？」

恭「…もうええ、大した話でもないし」

あぁ、いじけると面倒くさいのは、私がよく知ってる。

顔には出さんけど、ぷいっとそっぽを向いている恭平に

「今日の夕飯どっか食べいく？」

恭「…寿司」

「奢ったる」

恭「……許す」

すぐに機嫌を直した恭平は、昔から単純でまっすぐな男だ。

幼稚園の頃、隣の家に引っ越してきた恭平とは、ずっと一緒に過ごしてきた。

優しいやつで、すごく気が合う。

恭「てか、さっきなに考えてたん？ちょっと顔にやけてたし」

「え？嘘、にやけてた！？」

恭「うん、にやーって」

「えっ、ヤバい奴やん…！昔のこと思い出してただけやのに、」

恭「昔のことって…」

「あ！！！西畑先輩！！おはようございまーす！」

恭平の声を遮って、随分前を歩く背中に向かって叫ぶ。

ぴた、と立ち止まり目を丸くして振り返った先輩は、私を見つけてひらひら手を振った。

恭「お前声でかいわ、はっず……」

「えーいいやん、ねぇ見た？手振ってニコって！！今日もかっこええわ～～」

恭「あっそ」

「…ねぇほんとに見た！？なに、その興味無い反応！」

恭「あーもーうるっさい！見たわ！」

昔から、毎朝喧嘩しながら仲良く登校していた私たちは、いつだってふたり一緒で。

双子なんて呼ばれては、「誰がこいつと」と言いつつ満更でもない、みたいな。そんな関係だった。

恭「オレの方がかっこええ」

「あーはいはい、かっこええねー」

恭「おい、今適当に言ったやろ」

「あんたがナルシストなんは、私が1番よく知っとる」

恭「かっこええのは事実や」

このナルシストな男とは、いつまでも双子のような幼なじみだと思っていた。

この時までは。