アオハル。 (ページ12)

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私たちの関係は変化したのかもしれない。

…と、思っていたけれど、次の日からはいつもの調子にすっかり戻っていた。

夢でも見たんか？と思うくらいに。

「合格！合格！！」

丈「うるっさいわ、なんなんそれ？」

「言霊やん！知らんの？」

丈「知っとるけど、もっと他人に迷惑ならん程度でやって！」

過去問を解きながら、言霊を信じて叫んでいたら怒られた。

不貞腐れながら、今度はお守りを握りしめて、念じていると、

丈「…お前、それ……」

「へ？あぁ…お守り？これなぁ、高校入試の時に貰ったんよ、隣の席で試験受けてた子に」

丈「…」

「なんか、消しゴム忘れたみたいで貸してあげたんやけどな、代わりに自分のお守りくれてん」

高校入試の日、隣の席の男の子が、筆記用具を出して困った顔をしていて。

どうやら消しゴムを忘れたようだったので、予備で持っていたやつを試験直前にあげたのだ。

そしたら帰り道、走って追いかけてきて、「さっきはありがとう」って、自分が持ってた『必勝』のお守りをくれた。

『合格祈願』ではなく『必勝』のお守りだったけど、あの男の子のチカラが貰えている気がして、あれからずっと大切にしてきた。

「他の受験生に自分のお守り渡すなんて、私には出来ん。すごいよな」

丈「…ん、」

「…なに？さっきから静かやな」

丈「…別に。ほら、勉強再開」

うまくはぐらかされたような気がするけど、全くその通りだったので私も勉強を再開する。

すると教室のドアが開いて、よく知る顔が入ってきた。

和「丈く～～ん！参考書貸して～」

丈「大橋…やから、自分で買えって」

と言いながら参考書を渡す丈は、なんだかんだ大橋くんに甘い。

2人は家が近所の幼なじみで、私と大橋くんは中学からの同級生だ。

和「…あれっ？丈くん、それ見つかったんや！」

「え？」

丈「まっ…大橋！」

和「え？なに？これ丈くんのやん、ずっとなくしてたやつ」

「……えっ、」

これ、と大橋くんが指さしたのは、私の手の中にあるお守りで。

横を見れば気まずそうな顔した丈。

和「地元の神社で一緒に買って、どっちのか分からんくなるからって紐に印つけたんよ。丈くんは青、おれは緑で。」

と「懐かしいわ～！」なんて思い出話をした大橋くんは、参考書を持って教室を出ていってしまう。

お守りには、ストラップになる紐の部分に、青いペンで印がつけられていた。