そして動き出す ページ6
「カァー！那田蜘蛛山デ隊士数名ガ消息不明！現地ヘ赴キ状況ヲ確認セヨ！」
『あらカァ子さん。追加任務？』
「変ナ名前デ呼ブナッテ何度言エバ分カンノヨ、アンタ！」
任務後、近くの藤の家で夜を越した無一郎とAが朝食を摂っていると、無一郎の鎹鴉が次の任務を告げた。
ちなみにこの鴉、無一郎を溺愛するあまりAを目の敵にしていたりする。そのため本名を教えてもらえず、Aは暫定的に"カァ子さん"と呼んでいるのだ。まぁそれでもこの2年の間にそれなりに情が沸いたらしく、他人に比べれば当たりが柔らかい節もあるのだが。
『遂行中の任務の援護なら私だけかしら？それとも柱の力が必要と判断された？』
「ヒトマズAノミヨ！無一郎ハ柱合会議モ近イタメ帰還指示！」
「…了解。」
『了解です。』
話によると那田蜘蛛山まではこの家から走って一日といったところらしい。急げば今夜にも到着できるだろうか。
温かいお茶を啜りながらこの後の予定を確認していると、開いたままの障子からもう一羽の鴉が飛び込んできた。
「カァ！Aノ案内ハ僕ニ任セテ、ネ！」
『あら、真朱もおかえり。いつもありがとうね。』
「エヘヘ、モット撫デテ！」
蜻蛉玉が付いた紅い飾り紐を首に巻いたその鴉＿＿"真朱"はAの鎹鴉だ。Aの肩に止まり、どこか幼い話し方ですり寄る姿はとても可愛らしい……とAは思っていた。そう、Aだけは。
「マタヤッテルワ、コノ猫被リ。」
「相変わらずAにだけは態度が全然違うんだね。」
「…うっせぇまつ毛ブスにクソガキ。いつもいつもAに可愛がられやがって。(ﾎﾞｿｯ)」
「ねぇ悪態吐く時だけ流暢すぎない？」
Aに気取られないよう小さく呟いた真朱の台詞はやけに流暢だ。実はこの鴉、カァ子よりも数年年上のいい大人だったりする。普段は大好きなAに可愛がられるために幼気な話し方を心がけているのだ。本人(鴉)曰く、最終選別の際に一目惚れしたらしい。溺愛具合としてはカァ子といい勝負だろう。
しかしもう一度言おう。いい大人が、少女の気を引くために、幼気な話し方をしているのである。人間なら犯罪臭がするほど気持ち悪い。
「外見で年齢が分からない動物って得だよね。」
『……？時透さん、その若さでもう年の心配ですか？』
「……(ここまでバレないなんて、この鴉、演技派だなぁ。)」
まぁどうでもいいけど。
無一郎は不思議そうに首を傾げるAから目を反らし、無言で味噌汁を啜った。
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MONACA - かわいい (2019年11月19日 21時) (
レス) id: 8230194393 (このIDを非表示/違反報告)
愛花 - とっても面白いです！時透君が可愛い！更新頑張ってください！待ってます！ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪 | 作成日時：2019年8月4日 18時
