【弐】 ページ5
Aが霞柱の継子となってから2年＿＿その間にこの一連の朝の風景はすっかり日課となってしまっていた。
当初と変わらず時透邸には無一郎とAの2人しかいない。必然的に家事のほとんどをAが担っているのだが、元々実家でも年の離れた弟妹の面倒をよくみていたため特に不満はなかった。むしろ美少女と見紛うほど愛らしい年下の少年の世話についてはなかなか遣り甲斐を感じている。
『あ、時透さん、ご飯粒ついてますよ。』
「え、どこ？」
『ほらここに……はい、取れましたよ。』
「…ありがとう。」
『………(うん、今日も問題なく可愛い。)』
そう、Aは可愛いものが大好きだ。実家にいた頃は年の離れた弟妹を溺愛していたせいか、特に年下は男女問わず積極的に可愛がりたい。そんなAにとって、この可愛らしい霞柱の継子というのは正に天職とも言える。
『………(ああ、やっぱり彼の継子になれてよかった。)』
「……？箸が止まってるけど、どうかしたの？」
『(ハッ…)いえ、なんでも！』
甘い卵焼きを一つ一つ大事そうに食べる無一郎をついニコニコと見守ってしまっていたが、彼は柱なだけあって人の視線には敏感なのだ。気を付けなければ色々と感づかれてしまいかねない。何にも執着しない冷徹な無一郎だが、さすがに子供扱いには機嫌を損ねてしまうかもしれない。
『本日のご予定は？』
「まだ任務がないから今日は自宅待機。夜には担当地区内の見回りに出るよ。Aも来るでしょ？」
『………！はい！では午後に少しお時間をいただいてもいいですか。以前、斬った鬼の動き方が特殊でかなり手こずってしまったので、色々と対策を考えてみたんです。良ければご意見を聞かせてもらえませんか？』
「構わないよ。継子を抱える柱の務めだしね。」
『ありがとうございます。』
Aは無一郎に名前を呼ばれるのが好きだ。
無一郎は記憶の混濁のことを抜きにしてもあまり人を名前で呼ぶことがない。呼ぶのは同じ柱達くらいのものだ。それはおそらく世の中の人間のほとんどが彼にとって取るに足らないものだということなのだろう。
それが今では当然のようにAの名前を呼ぶのだ。Aにはそれが無一郎にとっての信頼の証のように感じていた。
「君のことだからまた色々と考えすぎてややこしい捌き方するんでしょ。容赦なく叩き直してあげるよ。」
『…………お願いします。』
さぁ、ご飯を食べたら今日も一日がんばろう。
………まずは午後の鍛練を乗り切ること。
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MONACA - かわいい (2019年11月19日 21時) (
レス) id: 8230194393 (このIDを非表示/違反報告)
愛花 - とっても面白いです！時透君が可愛い！更新頑張ってください！待ってます！ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪 | 作成日時：2019年8月4日 18時
