始まりは何気無く ページ2
「おめでとう、無一郎。よくがんばったね。これからの活躍も期待しているよ。」
「ありがとうございます。」
鬼殺隊本部、その中庭に面した一室に黒髪の青年と少年が向かい合って座していた。青年の後ろには双子のようにそっくりなおかっぱ頭の少女が二人控えている。
今日、少年＿＿時透無一郎は鬼殺隊士の最高位である柱へと昇進した。先ほど無一郎の御披露目となる初の柱合会議が開かれ、特に異論もなく無事終了したところだった。
「引き留めてしまってすまないね。ちょっと無一郎に話したいことがあったんだ。」
「……話したいこと、ですか。」
そう、会議終了後、無一郎は青年＿＿お館様こと鬼殺隊当主の産屋敷耀哉に呼び止められ、他の柱が去った後のこの部屋で何故か二人膝を付き合わせているのだ。
無一郎がいつもの感情の乏しい顔でコテリと首を傾げると、産屋敷は対称的ににこりと笑った。
「実は君に継子を付けようかと思っているんだ。」
「……継子？」
継子というのは聞いたことがある。柱が特別に指導して育てる直弟子のようなものだ。
でもそれは柱・継子両者の意思でなるものであり、こうして当主から勧められるものではなかったような気が…。
合点がいかない様子の無一郎に、産屋敷は分かっていたかのように言葉を続ける。
「本来は私が口出しすることではないのだけどね。柱は担当地区の維持を担うためそれぞれの屋敷を持つことになるわけだけど、君は記憶を留めておけないことで生活にも支障が出るだろう？それを支えてくれる子を側に置いてはどうかと思ったんだ。」
確かに、と無一郎は納得した。
鬼殺隊に保護されて以来、自分が記憶喪失であり、更には新しい記憶も長く留めておけないことは自覚していた。これまでは産屋敷の庇護を受けていたり剣術の師の元で世話になっていたため特に苦労もなかったが、自立するとなると自身の生活力には聊か不安が残るのは事実だ。
無一郎がふむと頷くと、それを了承と捉えた産屋敷はそっと数枚の紙束を差し出す。
「実は何人か候補は絞ってあるんだ。条件は君と同じ霞の呼吸を使うこと、年が近いこと、君の任務に同行することも多いだろうから階級が乙以上であること。あとなるべく面倒見の良い子を選んだつもりだよ。
君の継子だからね。最終決定は君がするといい。」
紙束には十数名の隊士の名前や来歴、これまでの任務実績などが簡単にまとめられていた。この中から選べということなのだろう。
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MONACA - かわいい (2019年11月19日 21時) (
レス) id: 8230194393 (このIDを非表示/違反報告)
愛花 - とっても面白いです！時透君が可愛い！更新頑張ってください！待ってます！ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪 | 作成日時：2019年8月4日 18時
