＿＿4 ページ36
手際よく万引き犯を縛り上げた鬼灯と、感嘆の声をあげるマキ。未だ認識がすれ違う二人にAが苦笑していると、騒ぎを聞き付けた野次馬がどんどん集まってきた。中にはマキに気付いて興奮したように声を上げる者もいる。
そんな中、人垣を掻き分けて見覚えのある人物が顔を出した。
「よっしゃ今日のわっちはついてるぜェ！お嬢さん、こっち向いて……って何でぇ、マキかよ。」
「げぇ、小判！」
どうやらマキもこのゲスパパラッチと知り合いだったらしい。
小判はガッカリした様子で溜め息を吐くも、折角のネタを無駄にせぬようカメラを構えなおした。
「まぁいいや。一枚撮らせろィ。」
「嫌よ、あんたのスクープになるのは！」
「そう言うなって。こちとら最近、老婆の全裸で記事も胃も荒れてよォ。あの冷血な閻魔の犬共が…」
ガッ
小判が閻魔大王の名を口にした途端、その小さな体は凄い勢いで宙へと吊り上げられる。目の前には凄味を増した黒衣の鬼神と、微笑とは裏腹に瞳に炎を宿した美しい女神がいた。
「閻魔の犬共が？」
『どうぞ、続きを聞かせて？』
「……太田胃散ください…」
「閻魔……の？」
吐血して意識を朦朧とさせる小判。その怯え様を見て、マキはそれまで自分が妄想の限りをぶつけていた夫婦が何者なのか初めて気付いたのだった。
後日＿＿
"「閻魔大王の第一補佐官の名前は？」"
"「ほ、鬼灯様…」"
"「お、マキちゃん初の正解！じゃあサービス問題！第二補佐官の名前は？」"
"「A様…」"
"「？……ああ、正解！」"
クイズ番組に出演したマキは鬼灯とAの予想通り素晴らしい活躍を見せたようだった。
□■おまけ■□
クイズ番組収録後の楽屋にて、マネージャーは不思議そうな顔でマキを出迎えた。
「マキちゃん、カグツチ様と知り合いだったの？」
「カグツチ様？誰それ？」
「誰って…第二補佐官様だよ。さっきクイズで答えてたでしょ？」
「……？第二補佐官はA様でしょ？」
「………ああ(察し)。"A様"ってのは愛称みたいなものなんだよ。本当の名前は"カグツチ様"。獄卒は愛称で呼ぶことが多いみたいだけど、全く関わりのない一般人は"カグツチ様"って呼ぶ人がほとんどだね。だからさっき答えた時も、司会者の反応が一瞬遅れたでしょ。」
「へー、そうなんだ。(ハッ…全国ネットでA様なんて呼んじゃったけど、もしかして馴れ馴れしかった！？ああああ更に失礼を重ねてしまったぁぁぁぁ！！)」
マキの苦悩と後悔はもう暫く続く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星の桜(プロフ) - 更新待ってました...！！！有り難う御座います( ；∀；)作者様のペースで！ゆっくりで！待ってます！！！ (2019年8月5日 12時) (
レス) id: 847ebd8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 最高でした！何度も読ませて頂いています！7回目ですかね…← まっ、それは置いといて、とっても面白かったです！更新頑張って下さい。応援してます！笑いや、イチャイチャ場面ご馳走様でした！鬼灯様可愛い…！！神作品ですね…文才寄越せ下さi(殴 (2018年8月28日 2時) (レス) id: d83bdf162b (このIDを非表示/違反報告)
あーみ(プロフ) - 面白くて何回も読ませてもらってます！更新楽しみにしてます♪がんばってください(≧▽≦) (2018年8月13日 9時) (レス) id: eacb75658f (このIDを非表示/違反報告)
かりん糖（笑） - 面白い！更新応援してます！ (2018年5月26日 13時) (レス) id: 9e16e8366e (このIDを非表示/違反報告)
男にならざる物(プロフ) - 初めまして今日はじめて読ませていただいたのですがとても面白いですね。最近アニメを見始めてにわかですが楽しみに夢小説を楽しみにさせて頂いておりますそして気長に更新を待たせていだだきますこれからも頑張って更新して頂けると私も嬉しいです！ (2018年5月14日 14時) (レス) id: 234f9e8ec0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白雪 | 作成日時：2018年5月13日 20時
