【鬼灯の冷徹】地獄照らすは業火の女神

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「まぁあの時の賭けについては私もどうかしていたのです。あんな賭け……でも譲りません。あれは私の勝ちです。」
「もういいじゃん、そこは…。」
『そんなに白澤様に夕餉奢りたいの？』
「んな訳ないですが、奴に負けるというのはただただ酷く癪です。」

負けず嫌いは理屈を解した上で意思を貫くので説得が通じず面倒臭い。
ムスリと拗ねた顔は可愛らしいんだけど、とAは苦笑いを溢した。ちなみに鬼灯のいつも通りの仏頂面から"拗ねた"表情を読み取れたのは彼女だけである。

『もう本人に直接聞いてみたらいいんじゃないかな？有耶無耶なままにしてるから余計に消化不良でイラつくんだよ。』
「俺もそれがいいと思います。スタッフ腕章付けた日本の鬼だったんですよね？なら特定できるんじゃ…。」
「ああ、あの時の名簿ならあるよ！その人には失礼だけど、この際ハッキリさせて仲直りしなよ。」
「仲直りは無理ですが……まぁAさんが言うなら…。」
『よし、決まり！』



そして数時間後＿＿

「私？ニューハーフだけど手術はしてないわよ。」

なんとか特定できた件の鬼に失礼を承知で性別を確認してみたが、まさか真実さえも有耶無耶なものだったとは。
予想外のことにその場の全員が呆然とする中、一番に動き出した鬼灯が徐にすごい勢いで電話をかけ始める。相手は十中八九あの人だろう。

「体が男性なら胸囲は男性と見なします！」
《いーや！心が女性なら僕は女性だと思うね！》

この確執は一生取り除かれることはないのだろう。A、閻魔大王、桃太郎は改めてそう実感したのだった。
電話越しにも関わらずよく響く白澤の怒声と鬼灯の怒声を背に、Aはとりあえずこれだけはしておかなければと件の鬼に向き直る。

『あの電話の向こうの方は貴方のことも女性として受け入れてくださるそうだよ。これ、彼の電話番号と住所ね。一度お話してみたらどうかな？』
「あら本当に！？ありがとうございます、A様！私、がんばりますね！」
《ちょっとAちゃん！？なんか不穏な会話が聞こえたんだけど！》
『言葉には責任を持つべきですよ、白澤様。』
「さすが、神獣の懐の広さだけは感服します。」
《っっ〜〜〜ーー！！！！》

その後、白澤がニューハーフの彼女から逃げきれたのかどうかは本人達のみぞ知る。

鬼とパンツとカニ→←＿＿2

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