【 d! 】レンアイのススメ【短篇集】 (ページ3)

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一定のリズムを刻みながらゆっくりとその雫を落とすコーヒーメーカー。
ふわりと香るコーヒーの香りに包まれながら迎える休日の朝。

ゆっくりと時間の流れるこういう日も偶には悪くない。

私は眩いばかりの朝日に目を向ける。そして、未だに寝室で静かな寝息を立てているであろう彼の姿を思い出しながら、鼻歌交じりに朝食の準備をするのである。

バケットをトースターに入れ、ベーコンを焼く。瞬く間に部屋には美味しそうな匂いが漂ってきて、そんな匂いに包まれながら淹れたてのコーヒーを飲むのもまた、休日の特権なのであろうかなんて考える。

そういえば、実家から美味しそうな林檎が届いていたはず。どうせなら。と、思って冷蔵庫からみずみずしいそれを一つ取り出しまな板に乗せる。甘いものが好きな彼のことだから、果物があったら喜んでくれるだろうか。

…刹那背中に重みを感じる。
振り向かなくたってこんな事するのは一人しかいない。

「グルちゃん」

そう彼の名を呟くと「ん」と小さく唸った。

何時もの彼しか知らない人には少し驚くような姿かもしれない。

容姿端麗、頭脳明晰、そんな言葉が似合う彼には唯一と言っていいほどに弱点がある。

そう、彼はとてつもなく朝に弱いのだ。

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