アイを伝えたい

スミレ ( 紫 ) ページ18

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「 … 29歳って、まだ若いのに 」



濱田さんは、カウンセラーの私にとって
はじめての患者さんだった。









「 人生って不公平よな、 」



隣で呟いたのは、濱田さんの主治医の中間先生。

濱田さんはこの若さでガンになった。
ステージ4で、もういつどうなってもおかしくない。

… 余命はあと3ヶ月。








最期まで生きてほしいけど、
本人は無気力で無感情になってしまい

見兼ねたご家族と中間先生が、
カウンセリングを依頼してくださった。









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「 … 濱田さん、こんにちは 」




彼にはじめて会ったのは、霊安室の前。
どうしてそんな場所に居るのか、分からなかった。

…この後しばらく、わたしと彼が会うのはこの場所だった。









「 落ち着くねん、ここに来ると 」








… 怖かった。

フラフラと中に入り、ご遺体を虚ろな目で見つめながら、
彼がそんなことを言ったから。







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「 … しにたい 」




彼はいつもそう言っていた。

生気のない目で、口角を少し上げる不気味な笑みを浮かべながら。

… それを初めて見た時、鳥肌が立った。

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