アイを伝えたい

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「 … のんすけっ 」





… はじめて見た、彼の涙を。

霊安室で静かに眠るのんちゃんの横にひざまずいて、泣いている彼。







「 なあのんすけ… 寝たふりしてんのやろ…！なあっ！！ 」





病院内でできた、たったひとりの友達。
そんな大切な人を失った彼に

わたしはどうしたらいいのか分からなくて。


ただただ荒い呼吸を繰り返す小さな背中をさすって
あげることしかできなかった。









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… もしかしたらのんちゃんは、自分の限界を知っていて
それで私にあんな話をしてきたんじゃないかなと思った。




そうだとしたら私はのんちゃんの、

最期のお願いを果たさなければならない。

…濱田さんの、ココロの元気を取り戻さなければならない。









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… そう決心したのはいいものの、
その日を境に濱田さんはすっかり変わってしまった。



中庭でギターを弾くことはおろか、
霊安室に行くことすらなくなって。

ずっと部屋に籠もったまま。






声を発することもなく、

痛いのか痛くないのか、苦しいのか苦しくないのか
伝えることもしてくれなくなって

わたしも中間先生も、困り果てていた。

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