兄に財布届けたら、紅白頭に恋されました【轟焦凍】 (ページ10)

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第8話　帰り道ページ10

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『う、わ………』

授業が終わり、帰ろうとしたら
教室の前でまた轟くんが待ち構えていた。

轟「A、帰るぞ。」

嫌悪感ダダ漏れの私をスルーし、轟くんは言った。

『あのさぁ、昼からずっと思ってたんだけど…
　私の教室どうやって分かったの？」

轟「……‥頑張った。」

『いやどゆこと』

(実は朝別れた時に、
Aが1Cに入るのをこっそり見ていただけなのだが)

『……とりあえず、一緒には帰んないから。』

轟「何でだ？」

『……色々と目立ちそうだから』

轟「目立たないように気を付ける」

『お兄ちゃんに怒られそうだし』

轟「爆豪には明日謝っとく」

何でそこまでして───

『…………今日だけだよ』

轟「！いいのか」

轟くんは周りに花が咲いたように
顔がパッと明るくなり、目をキラキラと輝かせた。

そこまで言われたら断るのもなんかなぁ…と思って
思わず許可してしまった…

……大事になりませんように………

私はそう願った。

─────────────────────

轟くんと並んで道を歩く。

すると突然轟くんが話しかけてきた。

轟「俺は、轟焦凍。15歳。誕生日は1月11日。
　好きな食べ物はあったかくねえ蕎麦。」

『？？え、どしたの急に。』

轟「…‥お互いのこと、知っとかなきゃ、だろ」

あ……そっか。

私一応、そう言う理由で告白断ったんだっけ。

『私は、爆豪A。16歳。誕生日は4月20日。
　好きな食べ物は……ええと、小さい葡萄と、牛丼。』

轟「……俺よりも早く産まれたのに
　俺より身長低いんだな」

『男子と女子なんだから当たり前でしょ！！』

そんなことを話していると、ふと安らぎを覚えた自分に
気付く。

轟くんのこと、少し知れたからかな。

「嫌い」という感情が少し薄くなったかも。

そうこうしているうちに、自分の家の前に着いた。

『じゃあ、バイバイ。帰り道、ちょっと楽しかった』

轟「そうか。じゃあ、」

ギュ

……！！？？

…え………

だ、きしめられ……た……？？

突然轟くんが私を抱きしめてきたのだ。

轟「……じゃあ、また”明日“な」

轟くんは私から離れるとそう言い、歩いて行った。

暫くフリーズしていた私だが、やがてヘナヘナと座り込んだ。

今の私の顔は、多分轟くんの頭の左側よりも
真っ赤だろう。

『……やっぱりアイツ……嫌い』