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濡れた顔を拭いながら、ヒロに今の状況を聞く。
爆破から半日、今は夜中の二時頃らしい。
｢本当は面会はダメな時間だけど、無理言って入れてもらったんだ。班長とゼロもちょっと前までいたんだけどね｣
「そうか……悪いな
そうだ、犯人はどうなった？｣
気になっていたことを口に出すと、ヒロは少しその表情を顔を歪めた。
言いにくそうに口を閉ざす彼に、また胸がざわめいた。
「教えてくれ、ヒロ」
「犯人は……1人は警察におわれた時に、
慌てて車道に飛び出して、事故死した」
「事故死か……！？」
目を見開いた。
「1人は……ってどういうことだ！！」
衝撃の事実に声を上げる。
それとほとんど同じタイミングで、個室の扉が開かれた。
「……！」
サングラスをかけて入口で佇む天パ。
サングラスで顔はよく見えないが、驚愕しているのは見て取れた。
「まつ……うぐっ！」
静かに歩いてきた松田は、ベッドのすぐ横へ来ると
手にしていた書類がぐしゃぐしゃになるのも関わらず、
強くAを抱きしめた。
「っいたたたた！」
「ちょっ！松田！！締めすぎ締めすぎ！！」
止めるヒロにも構わず、松田はその手を緩めることはない。
痛みでもがくと、煙草の匂いに混ざる、微かなアルコール。
「松田！お前酔ってるな…！？」
「えっ！？」
「……」
無言は肯定ととるぞと、喉まで出かかったのに
「……良かった、生きてて」
小さく、消えそうなほどか細く、耳に入ってきた声と、寄せられたその胸の音があまりにも強くて、
言葉を失った。
「……あの、松田」
おずおずと、ヒロが松田の肩をたたく。
それでようやく、手が少し緩んだ。
「え」
「あっ！」
ゴッ！
が、パッと胸ぐらを掴まれたかと思うと、鈍い音が病室に響く。
「ーッ！！」
額に痣ができるんじゃないか、という勢いで食らった松田の頭突きに額を押えて悶える。
痛みにじわりと涙が出た。
「いった…何すんだこの……！」
「ざけんなこの大バカ野郎！！
てめぇも！！萩も！！
……大バカ野郎だ！！｣
胸ぐらを掴んだまま怒鳴る松田の顔を見て
Aは困ったように笑った。
「ごめんな、松田」
右手を伸ばし、サングラス越しに見える少し濡れた目元を指で拭う。
「何笑ってやがる……ほんとにふざけんなよ！
ごめんで済めば警察はいらねーんだ……！！」
「……ごめん、大丈夫だよ陣平」
震え声で、俯いてしまったその頭を、さっきのヒロのように優しく撫でた。
「てめー…名前呼びすりゃ許すと思うな……」
「あ、ダメ？萩原直伝なんだけどな」
「あいつ後でしめる…」
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作者名：しゃ〜け | 作成日時：2022年12月28日 21時
