縁 ページ26
(※ハロ嫁の1部ネタバレを含みます)
麗らかな日差しと風がゆったりと雲を押し流していく午後。
その日は久々の午後休で、いつもの6人で学校近くの公園に遊びに来ていた。
「それにしても意外だな……君がそんなに遊具が好きだったとは」
「はぁ〜?誰がガキだって?」
「言ってない言ってない…」
ブランコの上に立ち上がり、勢いをつけたまま立ち漕ぎをしているAを見上げて、ゼロは苦笑している。
4人が少し離れた場所でキャッチボールをすると言うから、せっかくなので公園を満喫してやろうという心持ちなのだ。
「案外楽しいんだよ、最後にやったの小学校のときだしさ!童心に帰るってやつ?あれ体験してる。」
(本当に子供っぽいな……)
それにしてもブランコを設計した人は凄い。ただ前後に揺れているだけなのにこんなに楽しいなんて。
そのまま五分ほど乗り続けていたが、いい加減飽きが回ってきて、少し高度を下げたブランコから飛び降りる。
「危ないなぁ…」
「へーきへーき……?」
笑っていると、ゼロの背後に見える4人がなにかしていた。
「ヒロ!班長!何かあったのか?」
少し離れたところにいた2人に声をかけると、ヒロは苦笑い気味に水道を指さした。
そちらを向くと、半泣きの女の子に、ずぶ濡れになった萩原と男の子。
松田は少し離れたとこでどこかに電話しているようだ。
「子供が水道管にボールを当てちゃったみたいでさ、萩原がボールで応急処置してたとこ」
あのくらいの年頃だと、恐らく快斗と同い年か?
そんなことを思っていると、自分のポケットの中にハンカチと飴を入れていたことを思い出した。
子供たちの方へ歩いて、目線を合わせるようにしゃがみこむ。
そして飴を少女に手渡し、手にしたハンカチで、少年の顔を拭った。
「とりあえず、家に帰ったらすぐ着替えること。ここは私達が何とかしておくから」
「これはあげるよ」と小さな手にハンカチを握らせた。
「ありがとう!お姉さん!」
ニコリと可愛らしい笑顔を見せた少女に、つられて頬が緩む。
「ね、ねぇ!お姉さん、名前…なんて言うの?」
「人に名前を聞く時は…まず自分からだ、少年?」
少し意地悪だったかな?とも思ったが、むしろ少年の好奇心をかきたてたのか、その目を光らせた。
「俺、工藤新一!」
「私は毛利蘭!」
「私は新宮A、よろしくな、2人共」
笑って、2人の手を握った。
この時はまだ知らなかったが、奇妙な縁というものはどこかしらで繋がっていると痛感するのは7年ほどあとの話だ。
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作者名:しゃ〜け | 作成日時:2022年12月28日 21時