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掃除をそっちのけに、6人は談義を続ける。
「成程な、だから
「そう、さっきも話した通り、犯人が肩を押えた時に見えなくなってしまった……ゴブレットのような刺青がね…」
「んで、犯人捕まえるために
「あ、ああ…
肩にゴブレットの刺青を入れていた、金物店を経営している入江さんに、
二の腕に観音像の刺青を入れていた、クリーニング店を経営している外守さんに、
首の後ろにサソリの刺青を入れていたバイク店店員の、確か名前は物部さん……
でもあの犯人が長野じゃなくて東京にいて…しかも偶然オレの周りにいるなんて有り得ないよね?」
自信なさげに言いながら、ヒロは苦笑する。
「その3人なら話聞いてきてやったぜ?」
「え?」
「オウよ!」
「みんなで手分けして…」
「ヒロの敵討ちだからな!」
そう、ヒロを除いたこの5人、資料室で思い詰めた表情のまま事件について調べていたヒロの様子を見て、
なにか出来ないかと、ゼロに協力を仰ぎ、既にその3人について話を聞いてきていたのである。
なまじ、正義感が強い5人では無い。
仲間が困っていることを易々と見過ごせないということも、既にこの身で経験済みだ。
話を聞いてきたのは松田、萩原、班長の3人。
私は当時の部屋の状況などを別途、資料室で調べていた。
出た情報としては、入江さんはヒロと同じ長野出身であり、肩の刺青を入れたのは大会優勝の記念で、それは10年前。
外守さんも同じく長野出身であり、腕の観音像は20年前に亡くなった妻と母を弔うためだそう。
萩原が言うには、大学は工学部を出ているらしい。
最後の物部さんは、15年ほど前、ヤンチャをしていた時のチームマークであると。
(物部さんの線はいちばん薄いな……)
「ん?どうした2人共?」
顔を上げると、ゼロと班長がなにか引っかかっているようで、首を傾げている。
かく言う私も、ヒロから状況を聞いた時から変な違和感を覚えていた。
「何だ?諸伏、A。お前らもかよ?」
「ああ………ヒロの話に違和感があって……
とりあえず、私が調べたこと聞いて貰っていいか?」
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作者名:しゃ〜け | 作成日時:2022年12月28日 21時