それは突然に ページ44
講義も終わり、自由時間。
「新宮さん、いる？」
コンコン、と軽く扉が叩かれたかと思うと、聞きなれない女性の声が聞こえる。
ベッド上から起き上がって扉を開けると、そこに居たのは事務を担当している女性。
なんどか、外出届を出す時に顔は見た事があった。
「はい？何か……」
「新宮さん宛にお電話が入っていてね、黒羽さんという方からなんだけど………」
「えっ、す、すぐ向かいます！！」
驚愕した。
部屋から飛び出し、事務の女性を半ば置き去りに、裸足なのも構わず走り出す。
「うわっ」
角を曲がった時に、ドンッと誰かにぶつかる。
慌てていたせいで、ちゃんと前を見ていなかった。
「っと、悪い！」
謝って顔を上げた先には、びっくりしたような顔のゼロが。
「A？どうし」
「ご、ごめんゼロ、ちょっと急いでるから！！」
「あ、おいA！？
裸足でどこに行くつもりだよ……ん？」
何かを言っていたゼロをその場に置き去りに、事務室のある棟へ階段を駆け降りる。
黒羽……その名字には当然心当たりがあった。
まさか、まさかあの人から電話が来るなんて思っていなかった。
フランス時代に、私を助けてくれた人
不器用だった私に、色々なことを教えてくれた人
私を、色々な人に引き合わせてくれた人……
言うなれば、恩師だった。
世界的マジシャン、黒羽盗一
昔から世界中を飛び回る彼とは、なんの偶然か、あの通り魔事件が原因で会う事になった。
『知り合いのツテが無いなら、私たちを頼ってくれていい』
『人を笑顔にするのも、マジシャンの仕事だよ。お嬢さん』
連絡をくれたことが、何より嬉しかった。
仕事が忙しいのは知っていたから、何となくこちらからの連絡を遠慮してしまっていた。
何を話そう、なんで連絡をくれたんだろう、元気だろうか。
また会えるのなら、今度は
(皆のことも…話したいなぁ)
だから、この時は、
あんな内容を聞かされるなんて、思ってもなかった。
「………千影さん、いま………なんて……？」
『……あの人が、ショーの最中に……
事故で亡くなったのよ』
電話口で、震えるのを声を抑えるかのように話す千影さんの声で届いたのは
「先生が……亡くなった……？」
彼の訃報だった。
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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜！！！面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです！！頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜！！ (2022年12月27日 1時) (
レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です！面白い！これからも無理せずに更新頑張って下さいね！応援してますぅぅぅ！ (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃ〜け | 作成日時：2022年12月19日 2時
