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高いところ危険 ページ32

かなり不安定な木の上で、唸りながら猫はこちらを見ている。

猫は視線を合わせると威嚇されてるって思うんだっけ

そんなことを思い出しながら、履いていた靴を脱ぎ捨てる。

こんな木の上で靴履いてたら逆に怪我する。

ゆっくり、脅かさないよう上の方の枝に足をかけて登る。

「よーし……大丈夫、怖くないよ」

猫がいる枝の反対側から、そっと手を伸ばすと、警戒はしてるが大人しかった。

「うん……いい子」

優しく声をかけながら、パッとその首を掴んで、手早く引き寄せる。
よほど怖かったのか、抱え直すとしっぽがたぬきのように毛がたっててちょっと面白かった。

「ふー…」

猫を捕まえることは出来たものの、ここからは猫を抱えたまま、片手で降りなければいけない。

下を見ると、だいたい2階層分くらいの高さで、これなら飛び降りても問題なさそうだ。


「カアッ!!」

「えっ、うわっ!!」

高さを確認しようと少し身体を乗り出していたタイミングで、大きな黒い影が身体をぶつけてきた。

カラスだ。

そいつはバサバサと羽を羽ばたかせながら、何度もこちらをつついてくる。

攻撃を庇うように腕で受けながら、ハッとして隣の木を見ると、そこにはまさかの鳥の巣が。

こんなに巣の近くに人がいたら当然怒るよな…!
でもこのタイミングで来ないでくれ

遠ざけるように腕を振るが、距離をとって直ぐに襲いかかってくる。

いっそ下に飛んだ方が早いと思い、枝にしゃがんでいる足に力を入れた。


バキッ

嫌な音がした。

「まっず……!」

力を入れたことで枝が持たずに折れたらしい。
理解して、背中から地面に落ちる衝撃に耐えるよう、グッと目を閉じた。



「A!!!」


声がしたかと思うと、ドンッと衝撃が全身に伝わった。
だが、思っていたほどの痛みがない。衝撃もそんなにない。


死んだか?


「ンなわけねーだろこのバカ!!!」

怒鳴り声に目を開けると、いつになく怖い顔の同期が。
どうやら口に出てたらしい。

「松田…!
………悪い!!大丈夫か!?」


そこでようやく、松田を下敷きにしてしまっていたことに気がついて慌てて飛び退く。

抱えていた猫をおろして振り返ると、土埃をはらいながら松田は立ち上がっていた。

その姿に「大丈夫か」と言いかけた首に、するりと後ろから腕が現れる。

「Aちゃーん?」

「何してるんだ?」

「さすがに見過ごせないなぁ」

「ヒェッ」




その後、同期たちにこっ酷く怒られたのは言うまでもない。

合コン…?→←猫



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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜!!!面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです!!頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜!! (2022年12月27日 1時) (レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です!面白い!これからも無理せずに更新頑張って下さいね!応援してますぅぅぅ! (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃ〜け | 作成日時:2022年12月19日 2時

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