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逮捕術訓練にて ページ20

「逮捕術とは、日本古来の武道をベースに、被疑者及び現行犯を、逮捕拘束するために練り上げられた技術である!!」

警棒を模した竹刀と防具のぶつかる音を背景に、鬼塚教官は声を張る。

勝ち抜きでの実践は、ちょうど班長と松田がぶつかっているところだった。

「有効打撃はアゴ、肩、胴、小手!
攻撃手段は突き、蹴り、逆、投げ、締め、固め、警棒、警杖、施錠など、何でもあり!

逮捕術の神髄は己はもちろん…相手をも無傷で制圧することである!!」

班長の鋭い蹴りこみが松田の胴を撃ち抜く。

ドシッと鈍い音がして、教官の「1本!!それまで!!」という制止が入った。

「うっわ痛そ……」

「班長鬼強じゃねーか!!」

「俺なんか面が潰れたかと思ったよ…」

「イテテ……」

面を外しながら悔しそうにしている松田に続く萩原とヒロ。

ここ3人は、先程班長にコテンパンに負けてきたばかりだ。
かく言う私は、もう少し後だ。

「ただの殴り合いなら負けねぇのによォ…」

「俺も女と車の扱いなら負けねえぜ……」

「あ、でもホラ班長彼女いるって……」

「というか、自分の庭で勝負して負けた時の方が目も当てられないだろ」

「あーっ!Aちゃんそういうこと言う!!」

大袈裟に肩を落とす萩原に「おつかれさん」とだけ返す。
まぁ得意分野で負ける方が辛いのは事実だしな。

「験直しに週末どっか行かねぇか?」

そう言い出したのは松田。
萩原、ヒロも乗り気のようだ。

「新宮さんはどうする?」

「私も一緒でいいのか?」

「もちろーん!Aちゃんの私服も見てみたいし!」

そんな理由か。
言っとくけど、期待して損しても知らないぞ。

「バイク店っつったら、この前妙な刺青(タトゥー)入れた男見かけたなぁ」

「刺青?」

「ああ…台付きの盃…ゴブレットっつーの?あんな図柄の……」

「それ、どんな男だ!?どこに住んでる!?名前は!?」

「ヒロ?どうした……?」

突然剣幕を変えて松田の肩を掴んだヒロの姿に、少しだけ、何か嫌な気配を感じた。

でもなんで…?刺青に反応したのか?

肩を揺さぶられる松田は「知らねぇよ!」とその手を止めさせていた。

「刺青に興味あんなら、バイク店に今晩行ってみっか?
常連みてーだったから、店員に聞けばわかるかも……」

ドサッ

「1本!!」

話に気を取られているうちに、試合が終わっていたようで

「マジか!?伊達班長…」

「10人抜きかよ!?」

「はは……」


勝てる気しないな……

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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜!!!面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです!!頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜!! (2022年12月27日 1時) (レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です!面白い!これからも無理せずに更新頑張って下さいね!応援してますぅぅぅ! (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃ〜け | 作成日時:2022年12月19日 2時

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