道連れ ページ17
その後、特別やることも無く、日は暮れていた。
日は暮れる、と言うより今は既に20時半すぎ。
人の居なくなった浴場を出て、まだ水気の完全に切れていない髪をタオルでがしがしと拭きながら、自室へ向かっていた。
今日はもうやることもない。
帰ったら直ぐに寝よう。
「あれ?Aちゃん!良いとこに!」
談話室を通りがかった時に、声をかけられた。
そちらを振り返ると
「……邪魔した」
「ちょっと待ってよ!
ごめんね、皆!少しだけ待ってて!」
女子に囲まれる萩原の姿をみて、「帰ろう」と即座に思った私は悪くないだろう。
「……で、何か用だったりする?」
「そう!昼間のお礼したくてさ!」
少しだけここで待ってて!と言い残すと、萩原は廊下を走り去っていく。
………え?まさかの放置?
呆然として萩原の曲がった角を見送り、
……一瞬だけチラリと集まっていた女子の方に視線を向ける。
………睨まれてる。だよな。
刺さる視線に、何か嫌な気配がして背筋が寒くなり、
談話室の中から姿が見えない、入口横の壁に背をついて腕を組んだ。
(萩原……!!礼なんていいから早く帰ってきてくれ!!)
内心冷や汗ダラダラである。
変に嫉妬心かき立てて、余計な怨みは買いたくない
「あ?」
「は……松田か」
人の気配がしてバッと顔を上げると、そこに居たのはおそらく彼も風呂上がりだったのか、髪がまだ濡れたままの松田がいた。
「何してんだよ、んなカッコで」
「帰ろうと思ったら、萩原に呼び止められてそのまま放置されてんの」
腕組みをしたまま、談話室の中を指さす。
チラッと中を覗いた松田は、直ぐに状況を理解したのか「ああ……」と呆れるような笑みを見せた。
「災難だな、お前も」
にしし、と他人事のように笑って部屋に戻ろうとする松田の腕を
ギュッと掴んだ。
「お?」
「頼む……松田
萩原が戻ってくるまでここいてくれ!!」
あの冷ややかで気に入らないものを見るような目線に耐えながら、いつ戻ってくるか分からない萩原を待つのは、正直だいぶキツい。
ならもうこの際恥も外聞も知ったこっちゃない。
腕から手へ握り直し、それを両手でぎゅっと包むように握る。
「な……頼む!」
懇願するように松田を見つめた。
頼む置いてかないでくれ
お前も道連れだ
「あ……ああ……わかったよ!!わーったから!!
手……離せ!」
手を振りほどいて背けた松田の顔が、
赤かったのなんて、Aは知る由もなかった。
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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜!!!面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです!!頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜!! (2022年12月27日 1時) (レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です!面白い!これからも無理せずに更新頑張って下さいね!応援してますぅぅぅ! (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃ〜け | 作成日時:2022年12月19日 2時