53sins ページ3
×××
体全体がゾクゾクする。
無理だ。
先生にこんなことをされていながら、力を抜けるわけがない。
「先生、だめです………」
「………ん？」
「シャワー浴びたい」
「そんなのいい。」
先生はわたしを離す気はないようで
腕の力は少しも弱くならず
唇や頬、おでこ、耳から首にかけての部分に
たくさんの口づけを落としていく。
「ね、先生………っ、」
唇のわずかな隙間から、
熱を持った舌が入り込んできた。
口内をかき乱し、時折歯列をそっとなぞる。
口元から体に向かって溶けるような熱が走った。
息が苦しくなって先生の胸をそっと叩くと
唇が離れ、そこから混ざり合った唾液が糸を引く。
目の前の先生は
あの頃の先生でも、再会した先生でも、そのどれでもないような気がしていた。
わたしは今の先生がどんな時よりも大好きだと思った。
手を伸ばし、先生の頬に触れる。
その手に先生の手が重なる。
「先生、やっぱりわたし、シャワー…」
先生はわたしを見下ろしたまま、退いてくれない。
視線はまっすぐにわたしのほう。
突き刺さるようにじっと見つめられると、恥ずかしくてその目を見ていられなくなってしまう。
「………お願い。」
先生は顔を綻ばせて笑い、わたしの体を起こして頬にキスをした。
「意地悪してごめん。」
わたしとは違う。
先生はまだ、どこか余裕そうだった。
それがすごく悔しい。
.
シャワーを浴び、
迷いに迷って、普段はあまり身につけない薄いブルーの下着を選んだ。
先生がシャワーを浴びている音が聞こえる。
しばらくしてそれが止まると、鼓動が速くなった。
浴室のドアの音。微かに聞こえる衣擦れの音。
目を閉じてそれを聞いた。
今夜、ふたつめの扉を開けること。
その代わりに罪悪感を置き去りにすること。
わたしにできるだろうか。
×××
続く (更新停止中)
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雨音(プロフ) - みーさん» ありがとうございます…！文章にはこだわってたくさん書き直したりしているので、そう言っていただけるとすごく嬉しいです(＞＜)！この先もお楽しみいただけますように…！ (2020年10月19日 22時) (
レス) id: 22fe178912 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 文章がとっても綺麗で、感情移入しやすく一気に読んでしまいました！感動に感動で号泣でした。続き楽しみにしています！ (2020年10月19日 3時) (レス) id: 78175a0286 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - なぁなさん» ありがとうございます…！涙を流していただけるほど感情を込めて読んでいただけて本当に嬉しいです！この先も楽しんでいただけると嬉しいです！ (2020年10月18日 22時) (レス) id: 22fe178912 (このIDを非表示/違反報告)
なぁな(プロフ) - 切なすぎて反芻しては大号泣してます。何度読んでもそれぞれの思いを考えると涙無しでは読めません。これからも楽しみにしております！！ (2020年10月18日 19時) (レス) id: 3a2ed233af (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - まきこさん» 素敵なコメントありがとうございます！ぜひ続きをお楽しみに…！これからも応援よろしくお願いします！ (2020年10月16日 18時) (レス) id: 22fe178912 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音
| 作成日時：2020年9月28日 21時
