短編:ツギハギの心臓（土方×希美） ページ16
『京蘭高校事件の被害者には悪魔が宿る』
心が壊れていた春咲希美には、知る由もなかった。
京蘭高校事件。またの名を【紅の卒業式】
業火と鮮血で彩られ、そしてその事件が起きた日が卒業式の三日前・・・つまり二月二十八日の金曜日に起きたからそう呼ばれている、と親友が言っていた。
友達・仲間・教師そして・・・恋人はあまりにも凄惨で無惨な形で散らばっているのを思い出す。
粘つく血の匂い、鼻に障る髄液の匂い、吐気がする肉片の匂い。
教室も、机も、青春も、余すところなく紅で塗り潰された地獄絵図。
────春咲希美は京蘭高校事件の哀れな被害者。
──── 心の奥底に巣くう獣を隠すために、口を閉ざした卑怯者。
昨日まで楽しく未来を語っていた京蘭高校の元生徒を惨殺した岡田似蔵は冷淡に、そして愉しそうに嗤う表情が脳裏にこびりつく。
タチの悪いスナッフフィルムの様に再生される地獄を掻き消すのに夢中になって、ありったけの呪いを込めた言葉の中身は理解できなかった。
自分は矮小な奴だ。自分は愚かな奴だ。
自分は最低な奴だ。自分は最悪な奴だ。
自分は────自分は自分は自分は自分は。
「希美」
低い声が、鼓膜に響く。
「大丈夫か・・・？」
────────土方、十四郎。
「─────────」
何かを言おうとして、地面に崩れ落ちた。
そして吐いた。胃に残った物も、胃液も、できるならあの日の記憶も、涙が出るまで嘔吐する。
「っ!!おい、希美!!!!大丈夫かっ!!」
土方の声が、聞こえたような気がした。
けれど効果はない。そんな事は無駄に終わった。
鼻腔に残る血肉の匂いは、記憶に残る阿鼻叫喚は。
鮮明過ぎて脳髄を泥酔させる。
「や、やめろ・・・！やめ、やめてくれ・・・！俺は、俺は─────！」
荒い呼吸のまま、希美はそう口にする。
「俺は、悪くない・・・・俺は、俺は俺は俺は────」
「希美っ!!!!俺を見ろ───!!!!｣
土方の両手が彼女の頬を掴んで視線を合わせられる。
その目は瞳孔が開いてるような、蒼玉の瞳をしていた。
「希美、俺を見ろ。もう岡田はいねェ。お前を苦しめるのは今はいねェ。今いるのは誰だ、言ってみろ」
「────────ひ、土方。土方、十四郎」
「そうだ。今いるのは人斬りでもなんでもねェ、ただの土方 十四郎だ。
・・・・ごめんな、来るのが遅くなっちまった」
もう大丈夫だ、なんて優しい言葉を言われた途端。胸いっぱいに土方の温もりが感じられた。
短編:甘くなるのはこれから（阿伏兎×ロベリア）ｰ荊姫さんに捧ぐｰ→←短編:牙を隠した化獣（�掘�
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神埼梨花(プロフ) - riiuさん» 色々ごちゃまぜ(´°Д°｀) (2019年11月15日 22時) (
レス) id: a74ed67423 (このIDを非表示/違反報告)
riiu(プロフ) - 優里菜ちゃんに聞くんか…嫌な予感しかしませんね本当にありがとうございました（） (2019年11月15日 22時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
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