脱お父さん計画！2 (ページ10)

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Ep.58 ページ10

私はみんなと合流しても結局何も言えずただただ

悔しさで涙が出そうなのを堪えるだけだった。

人一倍みんなの頑張り、努力を近くで見てきた

一緒に試合に出てるわけじゃないけどすごく悔しい。

烏「おーしじゃあ飯行くぞ。もちろん奢りだ。」

澤「え、飯っすか？」

烏「いいから食うんだよ。」

そうして私達は烏養さんに連れられある居酒屋に来た。

もちろん入ってからも私たちの空気は重いまま。

てっきり帰ってミーティングするものだと思ってたから

少し驚いているところはある。

烏「走ったりとか、飛んだりとか筋肉に負荷がかかれば
筋繊維が切れる。試合後の今なんかブッチブチだ。
それを飯食って修復する。そうやって筋肉を作る。
そうやって強くなる。だから食え、ちゃんとした飯をな。」

私はその言葉に涙が止まらなかった。

大地を筆頭に"いただきます"と手を合わせて食べていった

いつもうるさいけど今日は皆涙を浮かべて黙々と食べていた。

横にいる潔子も悔しそうな顔で食べている。

私は涙で前も見えず食べる手も進まなかった。

食べ終わり勘定も済み、それぞれ帰路に着いた。

『だい．．．大地お疲れ様．．．』

澤「あぁ．．．Aもありがとう。」

私たちこれで引退なのかな．．．

なんて頭をそんなことがよぎる。

澤「俺達インハイが最後かもって思ったけど
このままじゃ後悔するかもしれない。」

『私まだ辞めたくないよバレー部のマネ。
皆のこともっとちゃんとサポートしたい．．．
頼りないけど。』

澤「俺も出来れば春高に行ってもう一度リベンジしたい。」

でも私たちには時間が迫っている。

進路の確定、卒業への準備沢山やることがある。

ほとんどの部活がもう終わり始めている。

『私烏野の皆と全国行きたい。
皆に大きなステージで輝いて欲しい。』

澤「そうだな、俺もまだ勝ち進んでみたい。
スガと旭それと清水がどういう選択するか
分からないけど俺はまだ残りたいなって思ってる。」

『私も、皆許してくれるかな？』

澤「許してくれなきゃ困るな笑」

大地は悔しそうな顔から少し笑顔になって私の手を握った。

澤「なあ、あのお礼今言ってもいいか？」

『うん！なんなりと！』

澤「俺とバレー部まだ残ろう。」

『そんなのもちろんだよ！』

そう言って大地の手を握り返した。

恋人になって初めて繋ぐ手は切なくて頼もしい手だった。