【企画小説】夢幻の如く【リレー小説】 (ページ6)

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6:出会いは唐突にページ6

――透真side――

『ぐぎゃあぁぁぁぁ！！』

デカい喚き声を上げる黒い“何か”……妖。

俺はそいつに向け手にした刀を降り下ろす。

斬っても斬っても減りゃしねぇ。

だが、ここで引けば妖による被害が増えるだけだ。

何とかしねぇと……

チッ、と舌打ちをして後ろにいた妖に回し蹴りを食らわせた。

……その時。

蹴り飛ばした妖越しに眩い光が見えた。

人工的なそれとは明らかに違う……

魔法の類いによる光。

｢誰かいんのか…？｣

ここは俺の担当地区のはずだが……

……いや、まぁいい。

この数の妖を俺一人で何とかするのは無理がある。

人手が増えるならそれに越したことはねぇ。

そう思った俺は光のした方へ駆け出す。

その後ろを妖共が追い掛けてくるが……

……何だ？

進めば進むほどに妖の気配が増えてやがる。

この先でいったい何が……

―――ドオオォォォンッ！！―――

ぎゅ、と眉間にシワを寄せたところで聞こえた爆発音。

音がした方に視線を向けると。

｢なっ……！？｣

巫女のような女が一人、無数の妖共と対峙していた。

そいつが何かを呟くと同時、数体の妖が互いを攻撃し始める。

何だ、あれ。

どうなってんだよ。

｢……！！｣

驚きと混乱とで立ち竦む俺の視線の先で。

疲労を隠しきれない女に向かって攻撃を仕掛ける妖。

俺はとっさに弓矢を作り放つ。

紅蓮に燃える、灼熱の弓矢。

矢が刺さった妖は焼き消え、女と視線がかち合った。

｢魔法…？まさか、人間が魔法を扱うなんて……｣

これも妖の影響か、なんて呟く女。

人間が、ってのはどういう意味だ。

テメェも人間じゃねぇのか。

そう言ってやりたいが、何せ声が出ねぇ。

ぐるぐると考えだけが渦巻く俺に向けて。

女はさっと手を翳す。

｢通常ならば双方の意思確認が必要なのですが……
非常事態故、致し方ない。あとで破棄しますから｣

なんて、よく分からないことを言って。

女はまた眩い光を放った。

目を開けていられないほどの閃光。

俺はその光を遮断すべく思わず目を閉じた。

暫くして、光がやんだ。

だが、何だ、この違和感は。

俺の内部から力が満ちてくるような……

不思議な感覚に襲われる。

―――――刹那。

｢絶対神のお告げです―――――自滅なさい｣

凛とした声、無数の妖達の断末魔。

何事かと閉じていた目を開く。

視界に映ったのは、言葉通り自ら命を絶つ妖達の姿だった。