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11:森の中で見たものは ページ11

≪承龍side≫


「はぁっ……どこも妖ばっかじゃねーかっ…」

目の前に散らばる妖の亡骸を見て吐き捨てる様に呟く。
元々肉弾戦特化ではない自分にこの量の妖を相手をしろという方が無理なのだ。

「スッゲー…疲れんだけど…」

何故、補助系魔法の使い手である自分も前線で戦わねばならないのだろう。
まだいるであろう妖に怒りを向けながら、さらに森の奥へと進む。

「…?また妖か?」

奥の方で、微かだが、何か音が聞こえてくる。
どっちみち、妖は討伐しなければならない。後回しにして不意打ちでもされたら…。
そんなことを思いながら、草木をかき分け、音のなる方へ進んで見たものは

「え…羽?輪っか?」

そう、背中に白い羽が生え、頭上に輪っかがある、まるで天使のような人間が妖を斬っていた。
男の体には無数の傷が出来ていて、呼吸も荒くなっている。

疲労に耐えられなかったのか、一歩踏み出そうとした男が膝をつく。
その瞬間、男の後ろから隠れていた妖が草の陰から姿を現した。

「あぶねえ!…水塊生成っ!」

とっさに魔法で大きな水の塊を作る。水に入ったことで、妖の攻撃は遅くなり、男はそれに気づいて回避した。
すぐに妖の攻撃を避けた男の腕をつかみ、元来た方へと駆け出す。

「なっ…まだ、妖が!」

「いいから!このまま逃げるぞ!」

そう言ってもまだ男は不服そうに眉をしかめる。
せめて怪我を治療しなければ、あの体で満足に戦えるわけがない。
ばっと後ろを振り返ると、妖がこちらを追いかけてきているのが見えた。
このままではまずい、どこかに隠れなければ。

「っち…どこかに隠れる場所は…」

迫りくる妖たちから逃げながら、どこか隠れる場所がないかあたりを見回す。

「聞いているのか人間!どこか広い場所に!」

「広い場所!?…もうすぐ出るけど、勝算あんの!?」

男は何も言わなかったが、真剣な目から肯定が見て取れた。
森の中を走り続け、やっと広い原っぱに着く。距離は遠いが、妖たちが追ってくるのが見えた。

「おい!もう隠れらんねーぞ!」

どうするつもりだ、と続くはずだった言葉は口から出ることはなかった。
目の前の男が眩い光を放ち、その眩しさにとっさに目を瞑る。

同時に、自分の中から力が溢れ出してくるのを感じた。

「大地の裁き」

凛とした男の声に目を開けると、妖たちが変形した地面に押しつぶされているのが目に映る。

「……は?」

そんな光景に、自身は間抜けな声を出す事しかできなかった。

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黒氷(プロフ) - 終わりました! (2016年2月28日 16時) (レス) id: b7b1a79610 (このIDを非表示/違反報告)
黒氷(プロフ) - 更新します! (2016年2月28日 16時) (レス) id: b7b1a79610 (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - 時間がないので更新できそうにありません… (2016年2月25日 17時) (レス) id: 927634d6aa (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - 更新いたします。 (2016年2月24日 21時) (レス) id: 927634d6aa (このIDを非表示/違反報告)
希々風 - 泡沫さん» あ、すいません。大丈夫ですよ!…後で直しておきますね。 (2016年2月21日 16時) (携帯から) (レス) id: 239cd4015a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者一同 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年2月14日 14時

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