【企画小説】夢幻の如く【リレー小説】 (ページ2)

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2:濁流に呑まれるページ2

「主様ーーーーっっ！！！」

爆風の中、誰かが叫んだ声にﾊｯ！とし、薄れかけた意識を顔を全力で殴って強制的に覚醒させる。

少し風に流されているロウガを自分の腰からロウガの腰に繋がっている蔦を必死に手繰り寄せ、背にまたがり、叫んだ。

「主様ーーーｯｯｯ！！！！」

海女が貝やウニを取るときのジャックナイフ泳法のようにロウガの頭を下に向けさせ、急降下させる。

手を伸ばし、彼女の手を掴もうとするが、その手はむなしく空を切る。

「チィｯ！」

一か八か……

私の頭に浮かんだ案。

私が手綱から手を離し、彼女に抱きついてロウガに引っ張りあげてもらう。

もし成功しなかったらどうする！？

私も彼女もロウガも助からないぞ！？

もっと確信のある手を探せ！！

「クソがｯ………」

『慎重を司る天使』であることにこれ程イラつきを覚えたことはない。今なら原罪のひとつである『憤怒ｲｰﾗ』を得られてしまうかもしれない。

理性が「やめろ、やめろ、確信なんてない。やめろ、やめろ」と体にストッパーをかけようとしてくる。

再び頬を殴り、理性を一瞬怯ませる。

今だ。

バッ！！

手綱から手を離し、落下する。そして彼女の腕を掴んで引き寄せ、抱き寄せる。

「よかった……」

安堵したのもつかの間。

ロウガがバランスを崩した____________

私の頭に浮かんだ言葉。それは……

『絶望』。

「うわあああぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー！！！！！」

濁流にさらわれ、滝壺に落下する一枚の木の葉の様に私たちは世界と世界の狭間に呑み込まれた。

_______________誰か_________