青春の48ページ ページ49
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安元「んじゃ、今日も1日しっかりやれよー。」
そう言って出席簿で肩をトントンしながら教室から出て行くチャンチンのSHRをなんとかやり過ごすと、クラスメイトは授業の準備を始める。
「じゃあ私、部屋行く。HP35ぐらいになったら戻ってくるわ。」
近藤「35になったらって今のHPほぼゼロじゃん。」
「瀕死の状態なうだから回復アイテムが必要なの。」
近ちゃんだけに分かるように煙草を吸う真似をすると、納得したように「ああ…。」と声をこぼす。
前の方の席で頭を抱えている聡の腕を取り「後はよろしく。」と慎に伝えると、早く行けと言わんばかりに顎で返事をする。態度悪いな。
腕を組みながらよろよろ歩く私たち2人の背後から忍び寄って来て間に割り込んでくるのは…
「…あんたのHPはフルでしょ、久義。」
菅沼「俺はAを充電しに行くの〜。」
鼻歌を歌いながら浮き足立っている久義は場違いも甚だしいな。なに考えてんだこのアホ。
なんとか鍵を開けて部屋にたどり着くと、聡は唸りながら速攻でソファになだれ込む。
冷蔵庫から水のペットボトルを出して、一応聡の枕元に置いてやると「ありがと。」とボトルに手を伸ばす。
「久義、窓開けてくれる?」
菅沼「はいよ!」
戸棚から灰皿を取り出し、久義が窓を開けたのを確認すると煙草に火をつける。胸あたりでモヤモヤと居座り続ける酒の香りを払拭させようと、肺いっぱいに煙を吸い込むと余計気持ち悪くなった。
「あぁー…回復アイテムが酒のHP復活させやがった…!」
1度しか吸い込まなかった煙草を灰皿に立てかけて机に突っ伏すと、横に座った久義が私の頭を撫で始める。
「何してんの。」
菅沼「弱ってるAをいい子いい子してるの。」
「…なにそれ。」
と口では言いながらも久義の優しい手つきのおかげで少しずつ眠気が訪れ、私は意識を手放した。
ーーーあんたの存在がどれだけ周りに迷惑かかってるかまだ気付けないの?みんな思ってるわよ、いつまで幼馴染に頼ったら気が済むんですかあ?ってね。あんたが大好きな7人の幼馴染も案外…
「っはぁ、…!」
ガバッと起き上がって初めて自分が夢を見ていたことに気付いた。
「胸糞悪い夢だな。」
机の上の灰皿には、私が吸い残した煙草が細長い形のまま、灰となり燃え尽きていた。
新たに煙草に火をつけ、私の手を握りながら眠る久義とソファで心地好さそうに眠る聡を眺めながら吸い込んだ煙で新たに胸中に現れたモヤを誤魔化した。
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霜月藍(CV日野聡)(プロフ) - ぽんさん» あ、マスター主人公だったのか(←ノるなよ)。でもぽんさんの想い、ちゃんと伝わってますよ。私も同じ想いです。こんなおじいちゃん、いや、親戚の叔父ちゃんとかでもいいから近くに欲しい。 (2018年3月9日 22時) (レス) id: f1de22f120 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 霜月藍(CV日野聡)さん» もしかしたらマスターに一番夢を込めてるかもしれない…こんなステキな大人がいたらいいのに、という私の妄想が溢れたマスターのお話です(違う) (2018年3月5日 15時) (レス) id: 5a878bcdf8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月藍(CV日野聡)(プロフ) - どうしよう....マスターが好きすぎる (2018年2月2日 11時) (レス) id: e604f57806 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - アキラさん» コメントありがとうございました。これからもゆるーい空気感でやっていきます!また遊びにいらしてください♪( ´θ`) (2018年1月9日 18時) (レス) id: 1dc41fe2db (このIDを非表示/違反報告)
アキラ - こんばんわ。読んでいてとても楽しいです!!これからも更新頑張ってください!応援してます。 (2017年12月28日 1時) (レス) id: 52d4259820 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽん | 作成日時:2016年10月31日 7時