青春の15ページ ページ16
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カランと低めに響く鐘の音につられて振り向くと、大輔がおどおどしながら入ってきた。
『いらっしゃい、君が噂の幼馴染くんかな?』
小野「えっと…?」
「大輔こっちこっち!」
私が声を掛けるとあからさまにホッとしてへにゃっとなる大輔。小動物か。
小野「Aから送られてきた道順通りに歩いて来たけど間違えたのかと思っちゃった。」
「今日初めて来たけどもう既に私の隠れ家なの。いいでしょ?他の奴らには内緒だからね!」
『他って、あと何人の幼馴染がいるんだい?』
小野「俺ら含めて全員で8人なんです。」
『そりゃ賑やかだ。…ああ、注文を聞いてなかったね。何がいい?」
小野「んー…ダージリンで!」
『ストレート?』
小野「どうしよう。…檸檬を付けてもらえますか?」
"檸檬"という言葉に反応して思わずマスターと顔を見合わせる。
「…ふふふ(笑)」
『あははは!了解だよ、幼馴染1号くん。』
小野「ん?なんで笑ったの?っていうか1号って…。」
きょとんとした顔で頭上にハテナを並べる大輔。いつもレモンティーなんて飲まないくせにね。
「何でもないよ(笑)珍しいねレモンティーなんて。」
小野「そういう気分なのー。ねえ、それよりA。」
「なに?」
小野「このプリントの答え教えて!」
「えー…私もうそれさっきやって提出してきたもん。」
小野「明日提出しますって言って、A追っかけて抜けてきちゃったんだもん…お願い!」
終わらせてから抜けて来いよ…と思ったけど他の誰も私を追いかけて来なかったのに、大輔はこうして私のところに来てくれた事が嬉しくて、仕方ないなとため息をつきながら首を振った。
横に。
小野「なんでー!?」
「答えは自分で考えて。ただ、ヒントは出してあげる。ほら、早く解く!」
ヒィイ!いじわるー!!と叫びながら必死に問題を読んでいく大輔。小学生じゃないんだから問題文をいちいち音読するのやめてくれないかな。
『はい、ダージリン。おや…宿題か。』
ソーサーに置いてある檸檬をカップに入れて、一口すする大輔を見守る私とマスター。
小野「…なんでそんな見てるの。」
「その檸檬、はやく爆発しないかなーって。」
小野「?!」
『実はその檸檬にはちょっと細工がしてあってね。』
小野「ちょ、ちょっと?!俺飲んじゃったよ!」
私の悪ノリに乗っかるマスターとそれに慌てる大輔を見てたら、憂鬱も木っ端微塵になった気がした。
「ありがとう大輔。」
小野「ほえ?」
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霜月藍(CV日野聡)(プロフ) - ぽんさん» あ、マスター主人公だったのか(←ノるなよ)。でもぽんさんの想い、ちゃんと伝わってますよ。私も同じ想いです。こんなおじいちゃん、いや、親戚の叔父ちゃんとかでもいいから近くに欲しい。 (2018年3月9日 22時) (レス) id: f1de22f120 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 霜月藍(CV日野聡)さん» もしかしたらマスターに一番夢を込めてるかもしれない…こんなステキな大人がいたらいいのに、という私の妄想が溢れたマスターのお話です(違う) (2018年3月5日 15時) (レス) id: 5a878bcdf8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月藍(CV日野聡)(プロフ) - どうしよう....マスターが好きすぎる (2018年2月2日 11時) (レス) id: e604f57806 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - アキラさん» コメントありがとうございました。これからもゆるーい空気感でやっていきます!また遊びにいらしてください♪( ´θ`) (2018年1月9日 18時) (レス) id: 1dc41fe2db (このIDを非表示/違反報告)
アキラ - こんばんわ。読んでいてとても楽しいです!!これからも更新頑張ってください!応援してます。 (2017年12月28日 1時) (レス) id: 52d4259820 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽん | 作成日時:2016年10月31日 7時