青春の14ページ ページ15
.
「えっと、今って営業中ですか…?」
『あはは!そうだよ。』
「よかった。」
『お嬢さん1人なの?学校は…。』
「エスケープしました。」
『エスケ…あっはっは!僕も昔はよくやったよ。若いねえ。ゆっくりしていきな。注文は?』
「えっと…モカありますか?」
『カフェモカ?』
「じゃない方の。」
『渋いお嬢さんだ。グレードG1のいいやつがあるよ。待っててね。』
話が通じるマスターだわ…!こういう大人って本当に素敵。大好き。ジジ専って訳じゃないけど包容力と理解力のある人ってやっぱり大人で格好いい…。
コーヒーが来るまで本でも読もうと鞄をあさると、慎が読みたがっていた"檸檬"が出てきた。本屋に寄ったついでに見つけたから買ったのに渡すの忘れてたな。でも今日渡すのはなんか癪…。慎なんか知らないんだから!!
『その檸檬が爆発したりしたら面白いのに。』
「そしたら少しは私の憂鬱も木っ端微塵になりますかね。」
『はい、お待たせ。モカね。お嬢さんとは趣味が合うね。確か路上っていう短編がその本の中に入っているはずなんだけど、僕はそれが大好きでね。』
「よく見知ったはずの土地でも、まだまだ未開な場所がある。近所を探索するお話ですね。」
『そう。僕は元々もっと表の通りに店を出していたんだ。だけど本気を出していないと思ってね、この路地裏にやって来たんだ。』
「ふふ、お客さんは来なくなるでしょうね。こんな場所じゃ。でも私はぬかるんだ急斜面を滑って来た訳ではないのに、魅せられたようにこのお店に入った自分が少し恐ろしいです。」
『随分と話が通じるお嬢さんだな、驚いた。ちょっと座っていいかな。』
もちろん。と答えるとマスターは私の目の前に座り煙草に火をつけた。つられるように私も制服から煙草を取り出し火をつける。
『いけないお嬢さんだ、まだ未成年だろう。』
ダメと言いながら取り上げるようなそぶりを見せず微笑みながら私を見るマスターはやっぱり大人だ。
「ついさっき…幼馴染とつまらない喧嘩をしたんです。あまりに腹が立ったから授業を抜け出してここに来たんですけど。」
そう呟くと同時にピコンっと携帯が鳴る。
大輔Aどこにいるの!俺も抜けて来ちゃった。
『噂の幼馴染くんじゃないの?』
「違う幼馴染でしたけど。ふふふ、バカだなあ。」
『彼もここに呼ぶといい。』
なんとなく秘密にしていたかったけど…大輔だけならいいかなと思い、このお店のことを教えた。
.
507人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霜月藍(CV日野聡)(プロフ) - ぽんさん» あ、マスター主人公だったのか(←ノるなよ)。でもぽんさんの想い、ちゃんと伝わってますよ。私も同じ想いです。こんなおじいちゃん、いや、親戚の叔父ちゃんとかでもいいから近くに欲しい。 (2018年3月9日 22時) (レス) id: f1de22f120 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 霜月藍(CV日野聡)さん» もしかしたらマスターに一番夢を込めてるかもしれない…こんなステキな大人がいたらいいのに、という私の妄想が溢れたマスターのお話です(違う) (2018年3月5日 15時) (レス) id: 5a878bcdf8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月藍(CV日野聡)(プロフ) - どうしよう....マスターが好きすぎる (2018年2月2日 11時) (レス) id: e604f57806 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - アキラさん» コメントありがとうございました。これからもゆるーい空気感でやっていきます!また遊びにいらしてください♪( ´θ`) (2018年1月9日 18時) (レス) id: 1dc41fe2db (このIDを非表示/違反報告)
アキラ - こんばんわ。読んでいてとても楽しいです!!これからも更新頑張ってください!応援してます。 (2017年12月28日 1時) (レス) id: 52d4259820 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽん | 作成日時:2016年10月31日 7時