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男の家は至って普通で、部屋の掃除も行き届いてる。

ただ少し血生臭くて不愉快だ。

名前も知らないこの人と、私は一生を共にする?
考えただけで、胃がせり上がる。
後ろからこいつを思い切り殴れば。


「もう、失わへん」

「……」

「二度とあんな想い、したないねん」




「いなくならんでね」

だそうですよ、妹さん。


せめて私を見てよ。
私って、お前なんかが思うよりきっと、すごい人間なはずなのに。

誰かの代わりになるような器じゃない。


「もう失くさへん」

呟いた言葉が、頭の中に鈍く響いた。


男はシャオロン、と呼ぶように私に言った。
シャオロンは私をAと呼んで、妹と重ねることはなかった。


外に出たりは出来るし、寧ろ一緒に出かけたり、幸せを一生懸命演じて、かえって私が壊れそうだ。


壊れそうな毎日の中に、でも確かに、幸せはあった。
彼の思惑通りかもしれない。


「シャオロン」

「ん?」

「もう、やめたい」


だから突然切り出した。
幸せになる度、私は妹なのを思い出した。

妹じゃ、お前の隣にいられない。


「帰りたいん?」

「帰りたいよ」

「なら、死ねや」

「……」

吐き捨てたシャオロンを見つめれば、途端に泣きそうな顔になる。そんなこと思ってないよ、って表情が物語る。



「私はね」

「……」

「Aだよ」

「…A」


はじめて、私を見てくれた気がした。

目を伏せたシャオロンは、私のことが好きじゃないみたい。


「妹、やめるね」

「ごめん」

「こっちこそ」


妹ごっこはやめたけど、シャオロンは私を家に住まわせ続けた。冗談を言い合う仲になって、私の中に誰かを想うことはなくなって。

でもそれは、強い依存関係にあった。

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みーの - さかなしょこじゅんさん» こちらこそありがとうございます…!!ほんとにずっと応援してます…!!頑張って下さい〜! (12月7日 16時) (レス) id: c910479154 (このIDを非表示/違反報告)
さかなしょこじゅん - みーのさん» みーのさーん!!!!ありがとうございます、ありがとうございます、救われます……恐縮です、訳分からん文章は書いてる側も楽しいです!!!これからもがんばります、ありがとうございますー!! (12月5日 15時) (レス) id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
みーの - うわああああ、その独特な書き方が大好きです…だからさかなしょこじゅんさんの小説はやめられないんだよなぁ…((  意味不明なんて…!!そんな!!その分からない文章の意味を知ろうとするのが楽しいのに!!お疲れ様でした~! (12月3日 12時) (レス) @page9 id: c910479154 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さかなしょこじゅん | 作成日時:2023年10月31日 20時

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