・ ページ2
何をやったって無駄だ。
人間、死んだら無に還る。
天国や地獄みたいな存在すら分からないものに縋ってるんじゃ人生、ツマラナイ。
死んだらみんな価値がおんなじになる。だから生きているうちに死ぬほど人様に迷惑をかけてやる。
それが彼の持論らしい。
何があってそうなったのか知らないけど、何をやったって無駄だと考えるから勝手にどこか遠いところで死んでくれればいいだろ。
「こっ、こ、ろさぁいで、くださ、」
達観して生きていると思っていた。
いつか死ぬ、死ぬんだから、恐怖なんてものは無い。
幸せというのはかなり曖昧で、悲しいことを思い出した瞬間簡単に消えてなくなるくせして、憂鬱はいくら楽しいことを考えてもこびり付いて離れない。
一生を共にするのは所詮負の感情。
「いやだ、たすけ、て」
だから彼の話を聞いた時、確かにそうだと思った。
でも、私は現に今、生に縋り付いている。
これっぽっちのプライドだった。
向けられた刃物は不気味に光って、ケタケタ笑う彼の瞳は妖しげな琥珀色。
私だけは違うと信じてた。
みんななんかと違う、なんて。
私だけは本当に死にたがりで、私だけは本当の世界の真理を知っていて、妄想なんかじゃなくて。
でも私あの娘とさしてかわらないのね。
「だっさ」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔面。
自分自身にここまで酷く失望しても尚。
私生きたかったんだね。
「だぁれも、一人じゃなんも出来ひん」
その通り、その通りだ。
上手く声が出せないや。
「しにたくないぃ…」
「お前は今までの奴で1番ウルサイわ」
私は1番生きたがりらしい。
こんなに汚いやつ、早く死ねばいい。
でも所詮人間で、結局のところ自分が1番可愛いのだ。
「そんなに、生きたい？」
「いきたい」
目に焼き付くほどの冷笑。
何を考えていようと私には関係ないのに。
たかが武器を持っているだけで良い気になってるこの男に心底腹が立った。お前だって立場が反対ならこうする、必ずこう言う。
指名手配で見た連続殺人犯の顔をしてる時点でもう正気じゃないから、そうとも限らないだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みーの - さかなしょこじゅんさん» こちらこそありがとうございます…！！ほんとにずっと応援してます…！！頑張って下さい〜！ (12月7日 16時) (
レス) id: c910479154 (このIDを非表示/違反報告)
さかなしょこじゅん - みーのさん» みーのさーん！！！！ありがとうございます、ありがとうございます、救われます……恐縮です、訳分からん文章は書いてる側も楽しいです！！！これからもがんばります、ありがとうございますー！！ (12月5日 15時) (レス) id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
みーの - うわああああ、その独特な書き方が大好きです…だからさかなしょこじゅんさんの小説はやめられないんだよなぁ…（（ 意味不明なんて…！！そんな！！その分からない文章の意味を知ろうとするのが楽しいのに！！お疲れ様でした~！ (12月3日 12時) (レス) @page9 id: c910479154 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さかなしょこじゅん | 作成日時：2023年10月31日 20時
